願いを生む花

Thanks for：選択式御題

輪廻シリーズ。スザルル。


ルル誕スザルル編。
高校生ぐらいになったふたりを書こうかな～とも思ったんですが、まだ本編も幼少時だし、今回はそっちでいきます。
高校生は、本編が高校編に辿り着いたらいつか書きたいですね（苦笑）

ハロウィンのときに連載にして痛い目を見たから今回は頑張って1話に収めました（笑）


ルルスザ編も今日中にupしたいなぁ・・・（汗）
間に合うかなぁ、間に合わなかったら許して下さい（土下座）

---

いつもならば朝から訪ねてくる隣の家の子が、今日に限って昼を過ぎてもやってこなかった。それだけのことに落胆を覚える自分を自覚して、ルルーシュは思わず眉を寄せる。別に、気にする必要はないはずだ。高々ひとつ齢を重ねるだけで、特別なことなどなにもない。大好きな母からはおめでとうを言って貰えたし、おやつにケーキを焼いてくれる約束だってした。離婚して無関係になった父からは何もないが、それだって毎年のことだから今更どうということはない。去年までと変わらない、それで満足な誕生日のはずなのに。


――たくさんたくさん、お祝いしようね。


誕生日の話題になったとき、そう言って笑っていた少年の顔を思い出し、ルルーシュは再び気が落ち込んでいくのを感じた。


（スザクの嘘吐きめ・・・）


なんで誕生日にこんな憂鬱な気分にならなくちゃいけないんだ。お祝い以前の問題じゃないか。考えれば考えるほどむかむかしてきて、これでは駄目だと思い頭を振る。生まれたばかりの妹弟を目の前にして、こんなしかめっ面を曝しているわけにはいかないのだ。ルルーシュの顔を見て、不思議そうな顔をするロロと楽しそうに笑うナナリー。愛らしい双子の様子に少しだけ頬を緩ませて、上昇してきた気分と共にふたりの頬をつつく。きゃっきゃとはしゃぐ双子に、心が温かくなっていくのを感じて――それを見透かしたかのようなタイミングで玄関のチャイムが鳴った。

キッチンでケーキ作りに勤しむ母の代わりに玄関の扉を開けたルルーシュは、そこに先ほどまで自分の思考のほとんどを占めていた相手の姿を認めて目を瞠る。いつもと変わらぬ微笑みを浮かべる彼の姿に収まっていたはずのむかつきがむくむくと頭を擡げてきて、思わず顔を顰めた。・・・が、もとよりどこか天然のきらいがあるスザクがそんなルルーシュの様子に気付くはずもなく。常よりも幾分弾んだ声がルルーシュの名を呼んだ。


（こっちはこんな腹立たしい思いをしているのにこいつは・・・っ）


かっと頭に血が上ったルルーシュが噛み付くよりも半歩早く、スザクが動いた。なにかを包むようにして持っていたハンカチをルルーシュの頭上で思いっきり広げたのである。途端、小さな緑色が雪のようにひらひらと舞って、ルルーシュへと降り注ぐ。時間にしてしまえばほぼ一瞬のできごとがそのときばかりはすごく長く感じられて、思わず怒りも忘れてぽかんとした。


「誕生日おめでとう、ルルーシュ。君にたくさんの幸福が訪れますように」


きらきらと煌くスザクの瞳と同じ、綺麗な緑色の雪。自分の肩に付いたそれをそっと摘まみ上げて、ルルーシュはようやくその雪の正体を知った。


「四葉のクローバー・・・」

（しかもこんなにたくさん・・・）


四葉だというだけでも滅多に拝めるものではないのに、それがこの量。ばら撒くほどの四葉のクローバーなど、ルルーシュは初めて目にした。


「うん、それを探してたら結構時間食っちゃって。・・・ごめんね、遅くなって」


そう言って小さく苦笑するスザクは、もしかしたらルルーシュの不機嫌に気付いていたのかもしれない。そう考えると自分があまりにも子供っぽい振る舞いをしていたことを嫌でも自覚させられて、ルルーシュは気まずくなって彼から目を逸らした。自分の服に、それから床に、積もるように散らばったクローバーを見下ろし、それからもう一度手の中にある一片を見つめ、ようやく、スザクへと視線を戻す。不思議そうに首を傾けるスザクに、頬が熱を帯びるのを感じながら、ルルーシュは口を開いた。


「スザク・・・、その・・・ありがとう。最高のプレゼントだ」


その言葉に、スザクは至極嬉しそうに笑った。どちらが誕生日を迎えたのかわからないぐらい喜色に富んだ笑みに、ルルーシュはふたつめのプレゼントを貰ったような気がして、持っていたクローバーをそっと胸に抱き込んだ。――これは宝物にしよう。あとで押し花にでもして、栞にするのもいいかもしれない。弾む胸を抑えながら、ルルーシュはスザクを家の中へと招き入れる。キッチンからは、ケーキの焼けるいい匂いが漂ってきていた。


――――――
金のかからないプレゼントだなぁ、なんて言ってはいけません（台無し）

でも私、野生の四葉のクローバーなんて見つけたことないんで、やっぱりすごく大変だと思います。
半日で束になるほど集めたスザクさんってやっぱり化け物か？（笑）

そしてルルーシュがまだ子供なので素直だ！
高校生とかになったらきっとこんな素直にお礼なんて言えないよ、ヤツは！（笑）