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コードギアスのルルーシュとスザクにひたすら愛を捧げているテキストブログ


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Thanks for:hazy

少女騎士シリーズ。ルルスザ♀。


スザクの追憶。
・・・まぁ、いわゆる初体験に際してスザクが物思いに耽っているだけです。
とは言っても裏要素は一切ありません。
言うならば少女漫画でそういうシーンに流れ込むときの暗転直前だと思って下さい(笑)

時間軸的には高校入学直前か直後。




ずっと、男として育てられてきた。枢木家の跡取りとして生まれ、男であることを強制されてきた。無論、スザク本人は自分が女であることを知っている。物心がついた頃、父にそう告げられたからだ。お前は女だ。だが、生きる以上は男として生きろ。こちらも、男として扱う――と。その言葉どおり、スザクはその戸籍の上でも男として登録されていた。ただ、女であることを自覚させられたのは、無自覚で己の性別を他に露顕しないようにとの処置だった。スザクもそう認識して自ら男として振舞ってきたし、それを苦痛だと思ったことは正直ない。――だけど。

だけどスザクは、いつの間にか女になっていた。


(いったい、いつからそうなったんだろう?)


幼い兄妹が土蔵へやってきたときは、まだ完全に男だった。その兄妹に、女だとばれたあとも、自分は男だったと思う。なら、戦争が始まったときだろうか。それとも父をこの手にかけたとき? ・・・おそらくは、どちらも違う。幼馴染みの兄妹がブリタニアに戻り、スザクはそのあとを追ってブリタニア軍に入った。そのときもちゃんと、男として軍の中にいた。女であるスザクは、そこにはいなかったはずだ。――だったら、いつ?


「・・・・・・何を考えてる?」


拗ねたような声音が、頭上から落ちてきた。女であるスザクよりもよっぽど綺麗で細い指先がくしゃりと髪を掻き混ぜ、頬を辿る。その感触にほっと息を吐いて、スザクは唐突に理解した。


(この体温だ)


この、少し低い彼の体温。それが答えだったんだ。名誉ブリタニア人――延いてはブリタニア軍人となったスザクと、皇族に戻ったルルーシュとの再会。彼はスザクの姿を見て大いに驚き、それからすぐに怒ったように眉を顰めた。そして、大勢の前でスザクの手を引っ掴み、そのまま連れ出したのだ。戸惑うような上官の制止も気にとめず、スザクを自室へと引っ張り込んだ彼は、開口一番に「なぜお前がここにいる!?」と怒りを露にした。そのあとは散々な怒鳴り合いだった。日本を、スザクを護るためにブリタニアに戻ったのにと声を荒げるルルーシュと、ルルーシュだけにすべてを押し付けるなんてできるわけないと反論するスザクの主張は平行線を辿り、それはお互いに疲弊して肩で呼吸をし始めるまで続いた。ぜぇはぁ、と息も絶え絶えに言いたいことを言い尽くし、ようやく冷静さを取り戻してきたらしいルルーシュが次に取った行動は、苦しそうに瞳を揺らめかしてスザクを抱き締めるという、一種の暴挙だった。予想だにしなかった幼馴染みの反応に固まったスザクの耳に、搾り出したような声が響く。


――お前を、軍人になんてしたくなかった・・・!


護りたいと願った幼馴染みの腕の中で、スザクは日本という国がなくなって初めて泣いた。彼の少し低い体温が優しくて、切なくて、泣いた。胸が、きゅうっと締め付けられる。ぽろぽろと涙がとまらず、初めて受ける抱擁に戸惑っていた腕を、ゆるゆるとルルーシュの背中に回した、あのとき。きっとあのとき、スザクの中の女がゆっくりと呼吸を始めたのだ。


「・・・こういうときに考えごとをされると地味に傷付くんだが」
「まぁ、そう言うなよ。君のことを考えてたんだから多めに見ようよ、ね?」
「――俺のこと?」

そう、とスザクは頷いて、未だ拗ねた顔のルルーシュの頬へと軽く接吻けを送りながら、にっこりと微笑んだ。


「僕を女にしたのは君だったんだなぁ、って思って」


スザクの告白に、ルルーシュは一瞬だけきょとんとし、それから訝しげに眉を寄せる。「・・・なんで過去形なんだ」とルルーシュはぽつりと呟き、それに対してスザクが疑問符を浮かべるよりも早く、口を開いた。


「俺はこれからお前を女にするつもりだぞ」


目を瞬かせて、その言葉を咀嚼すること約3秒。幼馴染みより散々天然と言われ続けてきたスザクは、その天然さに相応しい鈍感さでその言葉の意味を悟り、ばっと顔を紅潮させた。


「・・・なっ、ば、馬鹿ッ! そういう意味じゃないっ!」
「だったらどういう意味――あぁ、やっぱりいい。これ以上はまた話が脱線する」
「君がそ――んンッ!?」


君がそんなこと言い出すからだろう。そう続くはずだった言葉を彼の唇に飲み込まれ、スザクは流されていると自覚しながら、ゆっくりと瞳を閉じた。


――――――
過去を一気に紹介したかっただけ(笑)
ルルーシュがブリタニアに帰る以外はほぼ原作と一緒ですね。

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