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コードギアスのルルーシュとスザクにひたすら愛を捧げているテキストブログ


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Thanks for:選択式御題

わたしの執事、ぼくのお嬢様シリーズ。スザルル♀。


ルルーシュ高二。・・・というか、ぽんぽん過去に飛んだりする私の悪い癖がでない限り、物語の基本はここらへんなんですよね。
前回のカレンとの会話から多分一週間も経ってない。

そろそろこのふたりにも先に進んでほしいな。
ホントもう、スザクの諦めが悪すぎて困る・・・。頑固なヤツめ!(笑)




「ルルちゃん、昨日頼んでた書類なんだけどー」
「あぁ、それならちゃんと持ってきて・・・」


生徒会副会長などという面倒な役職に就かされてもう一年以上。慣れた手付きで鞄の中から書類の入った封筒を取り出そうとしたルルーシュは、そこでぴしりと固まった。いつも通り整理整頓された鞄の中、お目当ての茶封筒が見当たらない。諦め悪く鞄の中を漁ってみるが、きっちりと整理されている中身では一目瞭然。意味もなく教科書の位置を直しながら、ルルーシュは一瞬目の前が暗くなるのを感じた。


(まずい・・・)


なにがまずいって、忘れたという事実を「相変わらず仕事が速いわね~」などと笑っている会長に知られることがまずい。彼女は別に仕事のミスぐらいで怒るような人ではないが、正直に言えば、ルルーシュとしては怒られたほうが何倍もマシだ。ここで忘れたなどと言おうものならなにをさせられるかわかったものじゃない。独り男女逆転祭ならまだいい。メイド服、バニーガール・・・果ては次回のイベントでの拒否権なしというのも考えられる。


(なんとかしなければ・・・)

「すみません。ルルーシュ・ランペルージはいますか?」


ミレイを誤魔化す術を12通りほど頭の中に描き出した直後、鼓膜を振るわせた柔らかな声にルルーシュは一も二もなく振り返った。来客にも気付かないほど思考に没頭していた自分を、一瞬で現実に引き戻す優しい声の持ち主を、ルルーシュはひとりしか知らない。


「えーと・・・失礼ですが、あなたは・・・?」
「申し遅れました。自分はランペルージ家の執事を務めさせて頂いている――」

「スザク!?」


開きっぱなしの鞄も放り出す勢いで生徒会室の扉へと走り寄ったルルーシュは、そこにシャーリーの誰何に答えようとしている執事兼恋人の姿を見出し、彼の名前を叫ぼうとして――けれど、それよりも半歩早く、自分ではない誰かが彼の名前を呼んだ。


「あれ? カレン?」


シャーリーから廊下のほうへと視線を転じたスザクが、どこか親しみのある声で彼女の名を呼んだ。――生徒会顧問である紅月カレンの名を。


(なんだ、これは)

「どうしてあんたがここにいるのよ」
「そういうカレンこそ、なんでこんなところに?」
「・・・自分の勤め先にいちゃ悪いっての?」
「え、カレンが教師やってる学校ってここだったの?」
「私、母校で教鞭振るってるって言ったはずだけど?」
「あー、てっきり中学のほうかと思ってた。・・・カレン、大丈夫? 授業、ちゃんとついていけてる?」
「真面目な顔でそういうこと訊かないでくれる!? 喧嘩なら買うわよ!」

(どうして)


――どうしてスザクは、紅月先生とこんなに仲がいい?


スザクがこんなにも遠慮のない物言いをするのを、ルルーシュは初めて見た。生徒相手にも全力投球なカレンがヒートアップしているのはいつものこととして、どこまでも大人の顔を崩さないスザクがこんな風に軽口を叩くなんて、ルルーシュは知らない。・・・それは、相手が同い年だから? それとも――。


「で、あんたはなんだってここにいるのよ」
「僕は・・・お嬢様の忘れ物を届けに」
「お嬢様って・・・」


カレンの瞳が、まずシャーリーを見て、その様子から違うと悟ったのだろう、生徒会室から出たところで固まっていたルルーシュへとその視線が向けられる。――負けたくない、と思った。なにに対してそう思ったのかは、正直わからない。未だにルルーシュはスザクとカレンの関係を掴みかねていたし、こんなことでぐらつく自分の心も許せなかった。品定めするようなカレンの視線を真っ向から受け止めて、ルルーシュはしっかりとその場に立つ。時間にしてしまえば2~3秒、でもルルーシュには5分にも10分にも感じられた長い沈黙のあと、やがて先に目を逸らしたのはカレンのほうだった。


「スザク、この学校には、藤堂先生っていう方がいるんだけどね」
「あのさぁ、カレン? 半年も通っていないとはいえ、さすがに担任だった人ぐらい覚えてるよ」
「あら、あんたの脳細胞の容量を心配してあげたんじゃない」
「・・・さっきのこと根に持ってるね」
「心外ね、私はそんなに懐の狭い人間じゃないわよ」
「・・・まぁ、いいけど。それで? 藤堂先生がどうしたの?」
「せっかく来たんだから顔ぐらい見せていきなさいよ。あんたのこと、今でも結構気にしてくれてるみたいなんだから」


その言葉に、スザクは一瞬だけきょとんとして、それから小さく苦笑。「それはありがたいなぁ」と呟きながら、ルルーシュのほうへと顔を向けた。


(あ・・・)


ここにきて、初めて翡翠の瞳が自分を映し出したことに気付いて、心が小さく軋んだ。ふわりとした穏やかな微笑みは、いつも見慣れている彼の表情で、まるでガラス細工を扱うかのように触れてくる手の優しさもいつもとなにも変わらない。彼の持っていた茶封筒はルルーシュを窮地に追いやった書類が入ったもので、それを手渡しながら、スザクは少しだけ悪戯っぽく笑う。


「ルルーシュが忘れ物するなんて珍しいね」
「あ、あぁ・・・」
「今日は偶然僕が気付いたからいいけど、次からはちゃんと気をつけないと」
「そうだな・・・」


スザクの言葉が、うまく脳まで伝わってこない。ぼんやりと相槌を打つルルーシュの頭を、スザクの手がそっと撫でて。


「――――」


なにかを囁く声に、ばっと顔を上げた。「ほら、行くわよ」「カレンも行くの?」「職員室の位置が変わったの。案内してあげるわ」カレンと歩き出す後ろ姿を見つめながら、スザクの指先の軌道を辿るように自分の頭へと手を伸ばす。


(いま・・・)


ごめんね、と。そう言われた気がする。


――――――
途中からシャーリーとミレイが空気だ!(今更)
あ、謝罪のわけ等は次回に持ち越しですから(笑)

最初考えていたときは、カレンの職業は警官でした(笑)
まぁ、色々とネタを詰めている内にこう変わりましたが、結構満足しています。
ちなみに教師陣は日本人で固まってたらおもしろいなぁ、と思う。
藤堂さんもそうですが、扇さんも教師にしなくちゃ、と思ってしまう私がいる・・・(笑)

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