コードギアスのルルーシュとスザクにひたすら愛を捧げているテキストブログ
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 両手いっぱいのカトレアの花束を抱え、スザクはルルーシュの部屋の扉を叩いた。花束を持ち直しながら返事を待てば、すぐさま「入れ」という許可が下りる。「失礼します」と執事然とした態度で扉を開けると、室内にいたルルーシュはパソコン画面からスザクへと視線を転じようとして――すぐさまやめた。 「お嬢様、こちらを向いて頂きたいのですが・・・」 「・・・・・・」 気持ちのいいぐらい完璧な無視。あまりにも素直な反応に、彼女には決して悟られないよう小さく笑みを洩らして、スザクは表情と意識を改める。執事のそれから、彼女の望む恋人としての態度へ。・・・そうして、背中を向けている彼女にゆっくりと近付いて、言い直した。 「ルルーシュ、こっちを向いて?」 初めからそうすればいいものを・・・と言わんばかりに深々と溜め息を吐き、ルルーシュはキャスター付きの椅子ごとぐるりと振り返った。そして、スザクの手の中にある花束を見て、その見惚れるほど美しい紫水晶の瞳を丸くする。それを覗き込むようにして腰を折ったスザクは、彼女の手にカトレアの花束を受け取らせて、言った。 「バレンタインのお返し」 受け取ってね、と続けながら浮かべた微笑みは、自分の作る表情の中でルルーシュが弱いとしている中のひとつだ。彼女は気付かれていないと思っているかもしれないが、仄かに色付く頬を見れば、スザクにとっては一目瞭然。狼狽するようにカトレアの花束へと視線を落としたルルーシュの淡い薔薇色に染まった頬を見て、スザクは満足して姿勢を正す。・・・と、そこで我に返ったらしいルルーシュが、勢いよく顔を上げてスザクを睨み付けて。 「ちょっと待て。私はお前にチョコレートをあげた覚えなんてないぞ」 「君からのチョコレートならちゃんと受け取ったよ。――ほら」 懐から取り出したトリュフボックスを見て、ルルーシュの顔が羞恥に染まった。一ヶ月前の今日、スザクはルルーシュのためにザッハトルテを作り、何故か涙目で怒鳴られるという仕打ちを受けた。スザクとしては、彼女に喜んで貰いたいがための行動だっただけに訳がわからなかったのだが、彼女の座っていた椅子に残されたトリュフボックスを見つけ、それをナナリー経由でルルーシュに返そうとして、ようやくその意味を悟った。「それはスザクさんへですよ」と呆れたように返された上、ルルーシュがチョコレートを渡すなら自分以外ありえないだろうことは、自惚れでもなく少し考えればすぐにわかることで。――彼女の心境を慮り、その可愛らしさに思わず笑みを零したスザクだった。 「それは・・・その・・・っ」 「僕宛てのチョコレートだったんだよね? ありがとう。美味しかったよ」 「・・・・・・お前の作ったザッハトルテのほうが美味しかった」 「そんなことないよ。ルルーシュが作ってくれたものならなんだって美味しい」 モスグリーンのトリュフボックスにそっと接吻けると、ルルーシュの顔は一気に朱色に染まった。口をぱくぱくとさせている彼女ににっこりと微笑みかけて「だから、それはお返しね」とカトレアの花束を指差す。 「カトレアの花言葉はね『あなたは美しい』なんだよ。・・・ルルーシュには、ぴったりだと思うな」 「・・・そう、か・・・?」 嬉しそうに口許に笑みを刻みながら、でもどこか寂しそうに瞳を伏せる彼女は、本当に勘がいいと思う。愛を語るための花は溢れるようにある。それこそ、薔薇の花束を贈れば、ルルーシュは心から喜んでくれたと思う。――だけど。 (それは、君にはきっと重すぎるから) たとえ彼女自身が望んでも、スザクはその花束を贈れない。 ―――――― 「わたぼくのスザクはひどすぎる!」とよく友人に言われるのは、きっとこんな話展開にするからだと思われます。 ・・・うん、自覚はちゃんとあるよ! 自覚だけはねッ!!(逃走) PR この記事にコメントする
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