百計

Thanks for：hazy

Dear daysシリーズ。ルルスザ。


ルルーシュ殿下、頑張るの巻そのいち（笑）

今回はカレンとルルーシュの会話。
カレンはルルーシュの騎士です。齢はルルーシュのほうと同い年で、ヴィ家兄妹とは乳兄妹。


あと、10000HITのリクエスト募集〆切は2/3なのでよろしくお願いします！

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自分の主が本日何度目になるかわからない溜め息を洩らしたのを聞き咎め、カレンは彼のほうへと目を向けた。誰からも賞賛される麗しい顔（かんばせ）を苛立たしげに歪め、煩わしそうに書類へと視線を落とす姿は、まぁ、いつもどおりと言えよう。ただ、その眉間に寄せられた皺の数が通常の倍になっており、カレンは面倒に思いながらも仕方なく口を開いた。


「・・・どうかされましたか、殿下」
「別に・・・どうということはない」
「なら鬱陶しいので溜め息を吐くのはやめて下さい」


その返答に、黒の皇子と称されるルルーシュ・ヴィ・ブリタニア殿下は苦虫を噛み潰したような顔でカレンを睨んだ。だが、乳兄弟として幼い頃から共に育ったカレンからしてみれば、今更そんな顔をされても怖いなどとは思うはずもなく。逆に深々と溜め息を吐きながら、半ばはずれかけていた騎士の仮面を自ら剥いだ。


「その様子だと、あの子、まだ笑わないのね」
「・・・笑うには笑うんだけどな。その前に『困ったように』という余計なものが付くだけで」
「それじゃあ意味ないじゃないの」


呆れたように言えば、だから苛立っているんだ、との淀みない返答。だからカレンは、今度はばれないよう密やかに溜め息を洩らした。ルルーシュは何もわかっていない。彼の母であるマリアンヌ皇妃が、どうして自分の息子を挑発してまでこんなことをやらせているのか。


（マリアンヌ様は、あんたが心配なのよ）


そして、もちろんそれは自分も同じ。身内にはどこまでも優しい彼は、その反動のようにそれ以外にはどこまでも冷たかった。他人を決して顧みようよはしないカレンの主は、いつの間にか周りから冷酷無慈悲の黒の皇子として恐れられるようになっていた。だけど、ルルーシュはそれをわかった上で改めようとはしない。だって、彼にとって他人などどうでもいい存在だから。どう思われたって痛くも痒くもないのだ。――でも、一国の皇子がそれでは、下の者は付いてこない。ルルーシュ本人はそれでも構わないかもしれないが、周りはそれでは駄目だと知っている。特に、実の母であるマリアンヌの思うところは大きいだろう。枢木スザクという子供をルルーシュに預けたのは、そうして他人を慈しむ気持ちを学んでほしいからだ。そういう感情は、ルルーシュの身内であるカレンやマリアンヌ、延いては彼の最愛の妹であるナナリーであっても教えられないことなのだ。


「ったく・・・一体なにが不満なんだ。食事を豪勢にしてやっても身なりを綺麗に整えてやっても嬉しそうな顔ひとつしない」


なのに、彼は何もわかっていない。そうやって、笑わないことを苛立っているうちは、子供を笑わせるなんて無理だ。してやってる、と厚意を押し付けている限り、スザクはきっと笑わない。まずはそれに気付かなければ、ルルーシュは先に進めない。


「・・・もう少し考え方を変えてみたらどう？」
「・・・どういう意味だ？」
「例えば・・・ナナリーが小さい頃、どうしたら笑ってくれたのか考えてみるとか。男の子と女の子っていう違いはあるけど、なにかのヒントぐらいにはなるんじゃないかしら？」
「・・・ナナリーの小さい頃か・・・」


この助言で、少しは誰かのために何かをする、という気持ちを学んでくれたらいい。妹姫を相手にするときに、してやってる、なんて気持ちはなかったはずだ。ただ、笑ってほしいからなにかをする。そういう気持ちこそが大切なんだと気付いてくれたなら。


（頑張りなさいよ、ルルーシュ）


難しい顔でぶつぶつと呟いている自分の主の姿を見つめ、カレンはそっと目許を和ませた。


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カレンはよき理解者。
いいお姉さんって感じがします。カレンって妹なのにねー。
まぁ、このシリーズには兄であるナオトはいないわけですし、姉貴キャラでも問題ないですよね！
・・・他のシリーズでも割と姉貴キャラなのは、この際隅に置いておいて下さい。

人間的に大人になりきれていないルルーシュをみんなが心配しています。
ちなみに、スザクはいきなり色々貢がれて戸惑ってます（笑）
そりゃあ、苦笑するしかないよねっ！