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コードギアスのルルーシュとスザクにひたすら愛を捧げているテキストブログ


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Thanks for:ユグドラシル

わたしの執事、ぼくのお嬢様シリーズ。スザルル♀。


ハロウィン3話目。完結!
ルルーシュの反逆ならぬ報復話(笑)

子供だと思って甘く見ちゃいけません(真面目)




危なかったなぁ、とスザクは正直に胸中で白状した。本当に危なかった。あともう1秒、自分の役割を思い出すのが遅かったら、スザクはおそらくルルーシュの赤い唇に接吻けていただろう。それは絶対に避けなくてはいけないことだ。たとえルルーシュ自身がそれを望んだとしても、彼女はまだ15歳の子供で、スザクはもう分別をわきまえた大人なのだから。実際、彼女の押しの強さに負けて恋人になってしまったことを、スザクは密かに後悔している。それを知ったら、この少女は怒るだろうか、それとも悲しむのだろうか。


(でも、ルルーシュはいつか僕の手を離れていく)


幼い頃の憧憬を恋心と勘違いしているだけ。女の子が身近の年上男性――わかりやすい例をあげれば父親などに初恋を捧げることは珍しいことではないらしいし、ルルーシュの場合、それがスザクだっただけだ。そして、スザクが下手に他人だったものだから、それを本物だと錯覚しているのだろう。だから、スザクはいつでも彼女を手放せるようにしておかなければいけない。彼女が自分の傍にいてくれるのは、彼女が子供でいる間だけなのだから。

自分を見つめる紫水晶の輝きを背後に感じながら、スザクはいつものようにその視線の意味に気付かないふりをして、殊更明るく努めて、口を開いた。


「そういえば、今年もルルーシュは仮装しないの?」
「・・・・・・・・・」
「ナナリー達に作るついでに自分のも作ればよかったのに」
「・・・あれは、子供の行事だろう」
「15歳なんて、まだ充分子供だよ」


ルルーシュは、スザクに子供扱いされることを嫌がっている。だから、今きっと自分の後ろで苦虫を噛み潰したような顔をしているはずだ。その姿を想像して小さく笑みを洩らし、胸中でごめんね、と呟く。ルルーシュが、早くスザクと対等になりたいと、早く大人になりたいとしていることは知っている。だけど、大人になった彼女は、きっともうスザクの傍にはいなくて。だから、自分のエゴとわかっていても、スザクは彼女にまだ子供でいてほしいと思ってしまう。


「・・・なるほど。まだ子供か」
「え?」


常よりも1オクターブほど低い声に、スザクは初めてルルーシュを振り返った。長い見事な黒髪に、白いカチューシャがよく映え、仁王立ちするように腕を組んだ彼女の顔を見て、本日二度目の嫌な予感がスザクの心に押し寄せる。


「ルルーシュ?」
「別に、仮装していなくても祭りに参加できないわけじゃない」


母親似の美貌に酷薄な笑みを貼り付け、ルルーシュは追い詰めるようにスザクへと近付く。紅茶の準備中だったポットを傍らに置き、スザク戸惑いと焦りを足して2で割ったような心地で彼女を見た。彼女はスザクの目の前で立ち止まり、極上な微笑みをその口許に浮かべ、紫水晶の瞳を剣呑に閃かせ、血の気が引くような穏やかな声で問う。


「私はまだ子供なんだよな?」
「そう、だね」
「なら、私にもこの祭りに参加する権利があるはずだ」
「・・・?」


この世で一番大切な少女の、心底楽しそうな顔を間近で見つめながら、スザクは自分の頬が引き攣っていくのを感じた。内面が母親似の双子とは異なり、ルルーシュは滅多に悪ふざけなどしない。つまり、現在自分がこういう状況に置かれているのは、彼女が疑いようもないほど本気だからだ。さきほど揶揄されたことへの仕返しか、子供扱いされたことへの憤りか、ルルーシュは本気でスザクに一矢報いようとしているのだ。


「――Trick or treat」

(・・・そう来たか)


その魔法の呪文は、今日に限りどんなことをも可能にしてしまう。その威力は今朝、双子の手によって実証されたばかりだ。お菓子の準備自体はつつがなくされている。だが、問題はそのお菓子が現在ルルーシュの背後にあるテーブルに並べられているという点である。頭のいい彼女のことだからそのぐらいは確認済みで、だからこそこの場所に立ったのだろう。この、絶対にスザクの手がテーブルの上に辿り着けない場所に。


「・・・お菓子なら、君の後ろに準備してあるよ?」
「知ってる。でも、お前は今持ってないんだろう?」


・・・まぁ、想像するまでもない、わかりきった返答だ。


「ナナリー達に同じ手を使われたばかりだったんだから、もう少し注意するべきだったな」


弾むようなルルーシュの声に、スザクは深く長い溜め息を洩らし、降参を示すために両の手を上げた。――後日、ことの顛末を知った双子は嬉々として実行された悪戯についてふたりを問い詰めたが、ルルーシュは楽しそうに口を噤み、スザクは頑なに黙秘し続けた。


――――――
ウチのスザクは失言大王な気がしてきた(笑)

というわけで、以上をもってハロウィン小説スザルル編は終了ですー。
どうでしたかね? 少しでも楽しんで頂ければ幸いです(苦笑)

このシリーズのスザクはわりと抜け目ないほうなんですが、小さい頃から面倒見ている所為か、ランペルージ姉弟にはガードが甘いのです。
他の人相手なら笑顔で受け流しているところですよ!

タイトルに使いました「灰色ドラゴンと弱虫勇者」。
どっちがどっちを表しているかは皆様のご想像にお任せします(笑)

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