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コードギアスのルルーシュとスザクにひたすら愛を捧げているテキストブログ


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Thanks for:選択式御題

神殺しシリーズ。ルルスザ。


15歳の誕生日の真実。
書こうかどうしようか悩んだんですが・・・まぁ、やっぱり書いておくべきかな、と。
とりあえず誕生日当日。空白の一週間についてはまたいずれ。





そこは、この15年、枢木神社に住み続けたスザクでさえも知らない場所だった。父に連れられてやってきた本堂の奥。隠されていた地下へと続く階段は狭く、滞った闇がぽっかりと口を開けてスザクを待ち受けていた。どくん、と鼓動がひとつ大きく鳴る。なんでだろう、ここから先へ行きたくない。ざわざわと心が騒ぎ、言葉では表しようのない感覚が、スザクの足を縫い止める。


「どうしたスザク。早く進みなさい」


後ろにいる父がスザクを促す。だけど、駄目だ。ここから先は、駄目だ。行きたくない。行ってはいけない。だって、だってこの先にはアレがある。


(・・・アレだって?)


――アレって、なんだ?

こんなところ来たこともないのに、自分は今、何を考えた? 自分は、一体何を恐れているのか。わからない。だけど、スザクはこの先にあるものが怖い。ゆるりと振り返った先で、父はまるでスザクの退路を絶つかのように立っていた。感情がすとんと抜け落ちてしまったような顔と、底なし沼のようなどろりとした視線にぞわりと鳥肌が立つ。――あんな父の顔は初めてだ。平時よりあまり感情を表に出す人ではないけれど、それでもこんな人間味のない顔なんて見たことがない。この先に待ち構えているものに覚える恐怖とは違う不気味さを覚えて、スザクは進む以外に道がないことを悟った。ともすれば震えてしまいそうになる足を自分の矜持で奮い立たせて、スザクはぽっかりと空いた闇へと足を踏み入れた。

本堂の地下は、まるで洞窟のようだった。階段こそしっかりとした石造りだが、壁はほぼ土が剥き出しで、木材でなんとか支えているような印象を受ける。湿った土の匂いが鼻腔を満たし、馴染みのある感覚に詰めていた息をほう、と吐き出した。今日は、あまりにも『いつも』とかけ離れすぎていた。何かが変わる予感、というには期待感がまるでなく、ただ不安だけが胸を押し潰さんばかりに圧し掛かってくる。

やがて、父の持った明かりが階段の終わりに届き始めた頃、スザクはその奥に何人もの人の気配を感じ取った。・・・誰かがいる。それもひとりやふたりじゃない。一気に張り詰めた緊張にぐっと拳を握り締め、階段を下りきったスザクは睨むように周りを見渡し、目を見開いた。


「なんだよ、これ・・・」


そこにいたのは、いずれも見覚えのある顔ばかりだった。住み込みで働いている使用人達、師である藤堂、それに一年に一度会うか会わないか程度の親類――枢木家と関わりのある顔ぶれが一同に揃っていたのである。先ほどの父と同じようなどろりとした視線がスザクに絡み付き、人間味を失せた表情に寒気すら覚えた。後ろにいた父が、後ずさりかけたスザクの横を通り、前に出る。父の手には、いつの間にか一振りの剣があった。装飾過多な外見は西洋剣と通ったところがあるが、主な形としては日本刀に近いだろう。初めて見るものだったが、それの正体はなんとなく予想がついた。


「ランスロット・・・」


それは、枢木家に伝わる宝剣の名。スザクの呟きを聞き取ったのかは定かではないが、立ち止まった父が振り返った。皆と同じ、どろりとした視線を再びスザクに向け、宝剣を前へと差し出す。


「掴め、スザク」


絶対的な強制力を持った声に、握り締めていた手を解く。ゆっくりと手を伸ばしながら、自分の中で何かが叫んでいるのを感じる。掴むな、触るな――近付くな。あぁ、俺はコレを恐れているのか。ただの古い剣にしか見えないランスロットを、スザクは恐れている。それでも父が、周りが、スザクに触れること以外の選択肢を選ばせてくれない。怯えるな! 心をそう説き伏せて、スザクはランスロットの柄を掴んだ――直後。


「――――――ッッッ!!!」


声にならない絶叫が、スザクの喉から迸った。激痛。いや、それを通り越しての灼熱だった。ランスロットに触れた手のひらから、全身を駆け巡る灼熱。それは、まるでスザクの存在そのものを破壊しようとしているかのように激しく。


「祟り神憑き・・・」


最後に誰かの呟くような声を聞いた気がして、スザクの意識は深淵へと沈んでいった。


――――――
宝剣の名前は、本当は日本っぽいのを付けようと思ってました。
でも、自分で付けるよりはやっぱりギアスから持ってきたいなーと思い直し、ランスロットに決定(笑)
まぁ、スザクに関わりのあるものだし、神社と雰囲気が合わないとかはこの際スルーの方向で。

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