コードギアスのルルーシュとスザクにひたすら愛を捧げているテキストブログ
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 はい、と。手のひらの上に乗せられた3つの袋を見遣り、ルルーシュは訝しげに眉を顰めた。 「なんだ、これ」 「今日はホワイトデーだから」 「・・・・・・バレンタイン、あげた覚えがないんだが」 「うん、僕も貰った覚えないなぁ」 微笑とも苦笑とも取れない曖昧な笑みを浮かべ、それからスザクは、僅かに目を伏せて、続ける。 「・・・でも、いいんだ。ただ、僕があげたかっただけだから」 大切な思い出を辿るような声も、ありったけの愛しさを込めたような眼差しも、この数年でいやというほどに見せられてきたものだ。なのに、何故この胸はその度に軋むように痛むのか。焦燥にも似た苦しさにきゅっと唇を噛み締め、手の上の袋へと視線を落とす。・・・なんの変哲もない、クッキーの詰まった透明な袋だ。小さいものがふたつと、それよりもひとまわりかふたまわりほど大きいものがひとつ。大して重くもないそれが、今だけは鉄の塊のように感じて、ルルーシュはその感覚を振り払うように軽く頭を振った。 「――この際だから、あげてないバレンタインにお返しがきたことは考えないことにする」 「・・・うん。僕の自己満足だから、それでいいんだ」 そう言って小さく頷いたスザクは、満足しているようにも、ひどく後悔しているようにも見える。その表情が、やっぱりルルーシュには不満で、思わず顔を顰めかけて、慌てて表情を改めて、問うた。 「だけど、なんで3つもあるんだ?」 「だって、ホワイトデーは3倍返しが基本だろう?」 あげてないものを3倍にしても答えは0だ、というのは、さすがに蛇足がすぎるだろうか。どこか納得できないまま、むすっとするルルーシュに気付いてか、スザクは小さく苦笑してから「そのふたつはナナリーとロロにあげて」と付け加えた。 「ずっと、3倍返しってどうすればいいか考えてたんだけどさ、よくわからなくて。・・・だけど、これならルルーシュとナナリーとロロの3人が笑顔になれるかなって」 3人笑顔にすれば3倍になるかな、なんて。――スザクは。 (お前は・・・そのいつかのバレンタインでは、笑顔だったのか?) ちゃんと、嬉しそうに、楽しそうに、幸せそうに。そんな表情で、笑っていたのだろうか。・・・こんな、どこか泣きそうな、哀しそうな、寂しそうな表情じゃなくて、ちゃんと。 「・・・これじゃあ、駄目だ」 「え?」 「こんなんじゃ、笑顔になれるわけないだろ」 「あ・・・やっぱりちょっとしょぼかった?」 「そうじゃないっ」 手の上に乗せたままの袋を、スザクへと差し出し、ルルーシュは彼を睨み付けるようにして、言った。 「俺達3人を笑顔にしたいなら袋は4つ用意しろ」 自分達だけで食べて、どうしてそれで笑顔になれると思うのか。3人では駄目なのだ。4人――スザクも一緒でなければ。スザクがいなければ、それがどんなに美味しいクッキーだろうと、あの双子は寂しがるだろう。そして、それはルルーシュ自身も同じなのだ。一緒に食べて、美味しいと笑いあえなくては――多分、この胸の蟠りが大きくなるだけで、笑顔になんてなれるわけがない。 「4人分持ってこなくちゃ、家に入れないからな!」 きっぱりと言い切ったルルーシュに、スザクがひどく間の抜けた顔をして。――その表情に、ルルーシュは少しだけすっきりするのを感じた。 ―――――― ・・・序盤、バレンタインとの対比を意識しすぎて、ずるずると失敗しました。 こんなホワイトデーですみません。 でも、これでスザク誕が書ける!(過ぎてる過ぎてる) ・・・遅くなりましたが、スザクさん、誕生日おめでとうございます(ぺこり) PR この記事にコメントする
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