コードギアスのルルーシュとスザクにひたすら愛を捧げているテキストブログ
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 Thanks for:ユグドラシル 肩先まで伸びたふわふわとした癖毛が、夜闇に舞う。つい最近まで後ろで軽くまとめられていたそれは、ある日を境に下ろされるようになっていた。初めてジノがスザクに会ったとき、その髪は短かった。くるんくるんと跳ねる髪が、スザク自身の真面目で芯のしっかりとした性質とは正反対で、面白いなぁ、と思ったのを今でも覚えている。 「こんなに遅くなるなんて予定外だ」 むすっとした声に「任務が長引いたんだから仕方ないだろう?」と笑ってやると、スザクは「わかってるよ」と、これまた不機嫌そうに返した。それから「夜に君とふたりでいたと知れるとルルーシュの機嫌が悪いんだ」と少しだけ困ったように溜め息を吐く。まぁ、確かに機嫌を損ねるだろうな、とジノは思う。昔からルルーシュのスザクに対する独占欲は強かったが、これまたあの日以来、それは輪をかけてひどくなった。・・・というより、独占欲を隠す努力をしなくなったというのが正しいのだろう。今ではスザクに話しかけるだけで睨まれるようになったし、時と場合によっては堂々とその間に割り込むことだってある。そんなことしなくてもスザクはルルーシュのことしか眼中にないだろうに、と呆れるやら悲しくなるやら・・・。 「そういえば、下ろすようになったんだな」 「? なにが?」 「髪」 「あぁ・・・髪ね。ルルーシュが下ろすように言うからさ」 「・・・そのセリフ、私が『何故髪を切らないんだ』って訊いたときも聞いた気がする」 「そうだっけ?」 そうだよ、とジノは心の中で返す。ずっと短かった髪を、スザクは約1年半ほど前から伸ばし始めた。肩先に付くようになった髪を、邪魔だからという理由で後ろにまとめるようになったスザクに「なら髪を切ればいい」と言ったのだ。そのときのスザクの答えが「髪を切りに行く時間が惜しいし、ルルーシュが僕の髪を気に入っているらしくて伸ばせって言うんだ」だった。そのときは、相変わらずスザクはルルーシュに甘いな、ぐらいにしか思わなかったのだが、今にして思えば、それもあの日の準備の一環だったのだろう。 あの日――つまりはスザクの正式な騎士任命式当日。ルルーシュが正式に皇族として迎え入れられ、第十一皇子として世間にお披露目された日でもあるその日に、スザクの騎士任命式は執り行われた。正式な、という言葉の通り、スザクは事実上ルルーシュの騎士としての地位を確固たるものとしていた。ランスロットのデヴァイサーとしての戦場での働きは『白き死神』との異名をとるほどに凄まじかったし、スザクはその出自からも世間の注目を浴びていた。曰く、日本最後の総理大臣・枢木ゲンブの息子の名誉ブリタニア人、枢木スザクとして。そんなスザクが、お披露目も済んでいない第十一皇子からの騎士の申し出を受けたという話はすぐに広まった。ランスロットが第二皇子シュナイゼルの管轄にあったことから彼の騎士に、とか、名誉ブリタニア人初のナイトオブラウンズに、とか、なにかと噂は絶えなかったし、事実そういう動きはあったのだから、正にスザクの母国語で言うところの青天の霹靂である。しかも、スザク自身の「自分の主は第十一皇子以外ありえません」という宣言付き。最早、ルルーシュのお披露目とスザクの任命式はセットで考えられてしかるべきであった。 だが、正に予想外としか言いようのないスザクの騎士騒動だったが、その任命式には前段階の騒動が小さなものと感じるほどの度肝を抜く展開が待っていた。ジノはあのときのこともよく覚えている。スザクが登場した瞬間、歓声に包まれていた世界が一斉に沈黙したのだ。肩先まで伸びた髪を垂らし、ルルーシュ殿下自らデザインしたと言われるセンスのいい騎士服に身を包んだスザクは、紛れもない女性だったのである。ジノはあんぐりと口を開けて慌てて周りへと視線を巡らす。カメラを構えた報道陣は揃って固まっていたし、シュナイゼルや、あの皇帝陛下までもが目を見開いていたのだ。――ただひとり、壇上のルルーシュだけがその様子を楽しんでいたように思う。 「・・・ねぇ、ジノ。さっきから君の視線が気になって仕様がないんだけど」 呆れたようにくるりと振り返るスザクの姿は、どこからどう見ても女の子である。そこには男らしさなど一片とてない。女性の象徴ともいえる胸は決して小さいほうではないし、きゅっと引き締まったウエストといい、ヒップにかけてのラインといい、どこをとっても立派な女性の体である。自分はいったい、彼女のどこを見て男だと思っていたのだろう。 「私は今心底後悔している」 「は?」 「スザクが女性だと知っていれば即プロポーズしていたのに・・・!」 「アプローチとかを通り越して即刻プロポーズってとこがジノらしいと思うよ」 「そうだっ、今からでも遅くは――」 「ルルーシュに殺されたいのなら止めないけど?」 「・・・・・・」 冗談抜きで本当に殺られそうだ。ふたりの関係は今や暗黙の了解と化しているし、ジノの予想ではルルーシュはいずれスザクを后妃として迎え入れようとするだろう。スザクがどう考えているかは正直よくわからないが、ルルーシュは実にわかりやすい。隠すどころか確実に外堀を埋めていっている。事実、スザクに粉をかけた愚か者達は揃って最前線に飛ばされたり、不幸な事故に見舞われたりした。誰の仕業かは言うまでもない。ジノはナイトオブラウンズで、一応スザクの友人というポジションを確保しているので多少大目に見られているが、明確な意思を持ってその境界を越えようとすれば容赦はされないだろう。それがわかっているだけに落胆は大きい。 「それに」 再び前を向いて歩き出した彼女がぽつりと言う。その後に続きながら、ジノはなんとはなしに空を仰ぐ。ふたりのいる回廊からは空がよく見えた。満月なら見ものだろうが、残念なことに今宵の空には月がない。だからだろうか、いつもよりも星が近くに思えた。 「もし君が僕の性別を知ってしまっていたら、今頃君はここにいないだろうしね」 ぎょっとしてスザクへと視線を向ければ、彼女はその視線に気付いたのか顔だけで振り返ってみせた。翡翠の双眸を、今宵の星のように煌かせて、にっこりと、残酷に笑う。――その言葉の真意を問うほど、ジノは愚かではなかった。 ―――――― 明確な表現は避けましたが・・・わかりますよね? わからなかったら、違う話を差し込みますので遠慮なくコメントでも残してやって下さい。 どうでもいいんですが、ジノって微妙に書きにくいです。微妙に(重要なので2回言いました) PR この記事にコメントする
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