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コードギアスのルルーシュとスザクにひたすら愛を捧げているテキストブログ


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Thanks for:選択式御題

わたしの執事、ぼくのお嬢様シリーズ。スザルル♀。


スザクの過去。
ルルーシュの誕生までの軌跡(笑)




両親を事故で失ったスザクを、あの枢木の家から連れ出してくれた女の名は、C.C.といった。長い若葉色の髪と艶めく金色の瞳を持つ美しい少女は、自らを魔女と称し、3年という月日をスザクと共に過ごした。旅するように各地を廻り、どんな環境においても生きられる術を教えてくれた。それこそ、口で言うのは憚られるような黒い方法まで。・・・この件については、いつかまた再会したときにでも話し合いたいと思っている。正直、彼女には感謝してもし尽くせないと思っているので、スザクとしては話し合いのみで終わらせたい。自由奔放な彼女は「お前のためだ」などと口にしていたが、半分以上の割合で自分が楽するために幼いスザクに稼がせていたように思う。まぁ、スザクの身体能力やらその他諸々が、常人よりも遥かに優れてしまっていたのも、不運だったのだろうが。

そんなC.C.との生活の終わりは、なんとも呆気なく訪れた。非常に彼女らしいことだが、いつものようにあっさりと仮屋を手放し、これまたいつものように一切の説明もなく連れて来られた場所は、普通の家と表現するにはいささか立派すぎる屋敷。枢木の壮大すぎる日本家屋を見て育ったスザクからしてみれば驚くほどの大きさではなかったが、ほぼ初めて見るといっても過言ではない西洋様式の屋敷に興味が引かれたのは事実で。勝手知ったるなんとやら、呼び鈴も鳴らさずに堂々と屋敷へと足を踏み入れたC.C.の後に続き、スザクはきょろきょろと周りを見回した。――そして、そんなC.C.と自分を迎えるために奥から現れた女性は、とても綺麗で、凛々しい人だった。


「あぁ、マリアンヌ。出迎えご苦労」
「あなたの行動なんてもう慣れたわよ。今回はどんな用件? どうせお茶なんて飲んでいく余裕なんてないんでしょうから、さっさと済ませちゃってちょうだい」
「ふむ、話が早くて助かる」


そこでC.C.は、今まで蚊帳の外だったスザクを前へと押し出し、「この子供をお前に預ける」と確定事項として告げた。対するこの家の女主人も、C.C.のそんな性格は了解済みなのか、あっさりと「いいわよ」と言ってスザクを受け取った。それこそ、正に受け取るという様子で、スザクを自分の手元へと引き寄せたのだ。愕然としたのはスザクひとりだった。説明を求めてC.C.を見上げると、なにかと秘密主義の彼女にしては珍しいほど簡単に、スザクの視線に答えた。


「私がお前に教えてやれることはもうない。あとはここで、お前は人間になれ」


C.C.の言葉は抽象的すぎることも多かったが、人間になれ、というその言葉に思うところあって、スザクは黙った。両親の葬式の日、スザクは人間の皮を被ったケモノを見た。遺産の取り分の話しかしない伯父に、スザクの養育権を擦り付け合う叔母達。それが、枢木の家を含めた遺産のすべてをスザクが引き継ぐことになると知った途端、手のひらを返したのだ。スザクの養育権を巡る伯母達の詰り合いに、「こいつも一緒に死んでくれてりゃ話も簡単だったのに」とぽつりと洩れた叔父の言葉。優しくて、温かくて大好きだったはずのものが、その一夜にして黒くて、どろどろとした気持ち悪いものに変わってしまった。


「ここでなら、お前の失ってしまったものを、欠けてしまったものを、絶望し、諦めてしまったものを補えるだろう」


だから、とC.C.は続ける。スザクの目線に合わせて膝を折り、その金色の瞳をそっと細めて、白くて綺麗な指でスザクの頬を撫でながら、続ける。


「だからお前は、ここで人間になる努力をしろ」


スザクは、そんな彼女の顔をじっと見つめ「わかった」と頷いた。スザクの返答に満足したのか、C.C.はさっさと立ち上がり、挨拶も早々に屋敷をあとにした。「さて、と」その背中を見送っていたスザクの肩に、C.C.のものよりも少し大きい手が乗る。先ほどのC.C.の真似か、同じように膝を折ったマリアンヌと呼ばれていた女主人はスザクの顔を覗き込んで。


「あなたは今日からウチの長男ね。私のことは『お母様』って読んでくれてもいいのよ」


悪戯っぽく、ウインクした。スザクがとっさに「遠慮します」と返した所為で、そのあと「生意気」と笑われて頬を抓り上げられたりしたのだが、何故かその指先に亡き母の面影を見た気がして、抵抗しようとは思わなかった。いくら母と思ってくれていいとは言われても、独身女性に対して母のようだというのは失礼だな、と思ったので口には出さなかったが、彼女が本当の意味で母親になった――つまりはルルーシュを産んだのは、それから2年後のことだった。父親のことは決して教えてくれず、それはその3年後にナナリーとロロを産んだあとも変わらなかったが、彼女は病院から赤ん坊を連れ帰ると、必ずまずスザクに抱かせた。

その中でも、決して忘れることのできない命の輝きが、ルルーシュだった。初めて抱いた赤ん坊だからとかいう単純な理由ではない。ルルーシュと名付けられたばかりの小さな命は、最初、抱き慣れていない腕の中で僅かにむずがり、それからおもちゃのような小さな指でスザクの服の裾をきゅうっと握り締めて、ふにゃり、と笑ったのだ。


「ルルー、シュ」


スザクはその首も据わっていない赤ん坊を丁寧に、だけどしっかりと抱き締め、マリアンヌから教えて貰ったばかりの彼女の名前を、初めて呼んだ。


――――――
首も据わっていないような赤ん坊を10歳の子供に抱かせてはいけません(当たり前)
計算すればすぐにわかるようなことですが、スザクの両親が死んだのは5歳のとき。
マリアンヌさんに預けられたのが8歳で、ルルーシュ誕生が10歳となっております。
(ついでにいえば、ロロ・ナナリー誕生が13歳、マリアンヌさんの病死が16歳です)

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