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コードギアスのルルーシュとスザクにひたすら愛を捧げているテキストブログ


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少女騎士シリーズ。ルルスザ♀。


ルルーシュの誕生日!

今回もまた本編では書く機会がなさそうな話です。
ふたりがまだ付き合う前で、スザクの自覚話だと思います。
ルルーシュ、15歳の誕生日直前。ルルーシュの出番はありません(苦笑)

・・・土日には仕上げる予定だったのに・・・(凹)




「スザク! 日本人が愛の告白に『死んでもいい』と言うっていうのは本当か!?」

「・・・・・・は?」


シュナイゼルの要請を受けてテロリスト殲滅戦に参加することになったスザクが、不機嫌なルルーシュを宥めすかしてこの国に降り立ったのは3日前。なにかと煙たがられるスザクは、戦場に駆り出されても前線に出して貰えないことが多く、無駄に長引く戦況をただ眺めていることしか許されなかったりする。今回もそうなるだろうと、半ば諦めたように思いながら戦場に来てみれば、共に戦地入りしていたジノのおかげで、簡単に最前線に立たせて貰えた。さすが腐ってもナイト・オブ・ラウンズ。初めてジノのこと尊敬したかも、と馬鹿正直に口にして当の本人を思いっきり凹ませたのには、一切頓着しないスザクである。

とにもかくにも、これで約束していたルルーシュの誕生日までには帰還できそうだだ、と戦場にいるとは思えない弾みようで遅い夕食を取っていたスザクは、嵐のように駆け寄ってきたジノを見て、あからさまに眉を寄せた。


「さすがにそれは過激すぎじゃないか? やっぱり素直に『愛してる』って言ったほうが女性だって喜ぶ!」
「じゃあ、ジノはそうすればいいじゃない」
「そうじゃない! 私は、スザクもそう告白するのかと聞いてるんだ!」
「・・・僕?」
「そう! 好きな女性に対して、スザクも『死んでもいい』なんて言うのか!? というか、日本人の女性には本当にそれで通用するのか??」


そうか、それが日本人の言う『阿吽の呼吸』というやつか、と変に納得しそうなジノを、違うと思うよと軽くあしらい、持っていたスプーンを口へと運ぶ。少し薄味のスープを飲み込み、もう一度ジノを見上げれば、律儀にそれを待っていたらしいジノが、視線でもって続きを促していた。


(この会話、続けなくちゃ駄目なのか・・・)


僅かに覚えた疲れを溜め息で逃がし、スザクはスプーンを置いた。それを了承と取ったのか、ジノが嬉々としてスザクの前の席へと腰を下ろす。ひとつ年下の上官の、そんな憎めない態度に小さく苦笑を洩らし、スザクは今回のことへの礼も込めて、その雑談に付き合う覚悟を決めた。・・・ルルーシュ曰く世間知らずな自分が、失われた日本文化についてどこまで詳しく解説できるかはわからないが。


「大体、その知識、一体どこで手に入れたの?」
「本に書いてあった。昔の日本人が『愛しています』を『死んでもいい』と訳したって」
「昔、ね・・・。じゃあ、質問に答えるけど・・・そのいち、それはあくまでも昔の話だから今の日本人女性には通じないと思う。そのに、よって僕も使わない。以上」


そもそも、男装している自分にとって、恋愛なんて一生縁がないに違いない。


「他にも『月が綺麗ですね』っていうのもあったんだが・・・こっちならどうだろう? 日本人は奥ゆかしいというが、これではわかりづらいと思わないか?」
「まぁ、確かに、それも通じそうにないなぁ・・・」


正直、スザクの知り合いに日本人は少ない。7歳まではほぼ軟禁状態だったし、その後道場には通うようになったが、そういった類の話題は出なかった。祖国を失ってからなどは、それこそブリタニア人の知り合いしかできてない気がする。そんな数少ない日本の交友関係を思い返してみても、『月が綺麗ですね』イコール『愛しています』に繋がるようなイメージはない。――でも。


(『月が綺麗ですね』かぁ・・・)


確かに、日本の月は綺麗だった。ブリタニアが攻めてくる前、中秋の名月を自分に教えてくれたのは道場の師である藤堂で、そのときに覚えた息を呑むほどの感動を、スザクは一度だって忘れたことはない。だけど、今ではもう、日本の月を見てもそんなふうには思えそうになかった。空が濁ってしまった所為なのか、心が濁ってしまった所為なのか、それはわからないけれども。


(ルルーシュと一緒に見たかったなぁ)


郷愁に駆られるたびに、スザクはそう思う。日本がいい想い出で満ち溢れているかと問われれば、答えは多分否だ。それでもきっと、スザクにとっての故郷はあそこ以外ありえないのだろう。


「だけど、日本人の気持ちもわかる気がする。綺麗な月が出てたら、私はやっぱり好きな人と見たい!」
「・・・え?」
「スザクだってそうだろう?」


好きな、人と?


「――うん、そうだね」


ゆっくりとその意味を咀嚼して、スザクはどんな表情をすればいいのか迷って、結局笑った。苦笑するように、あるいは困ったように微笑んで――それから、帰ったらルルーシュと月が見たいと思った。ブリタニアの月は、きっと日本の月ほど綺麗ではないだろう。それでも多分、スザクはその月を生涯忘れることはないだろうから。


(早く、帰りたいなぁ)


帰れるのは、きっとルルーシュの誕生日当日だ。そんな日に、彼と月を見上げることができたなら、きっとそれ以上の幸福はないだろうと、スザクは思った。


――――――
自覚した瞬間に諦めようと決めるどうしようもないスザクが好きです(笑)
話の展開としては、このあと誕生日に告白するルルーシュへと繋がるわけですが・・・読みたい人います?

一応解説をつけておきますと、「愛しています」を訳した云々は、英語の「I love you」を日本の文豪が訳したときのエピソードから。
「月が綺麗ですね」は夏目漱石。「死んでもいい」というのは、正しくは「わたし、死んでもいいわ」で訳したのは二葉亭四迷です。
作中で「死んでもいい」としたのは、日本語とブリタニア語のニュアンスの違いだと思って下さい。
訳したエピソードに関しても、色々と諸説あるようですので、あまり鵜呑みにしないで下さいね(汗)

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