コードギアスのルルーシュとスザクにひたすら愛を捧げているテキストブログ
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 「・・・・・・なんだこれは?」 「バレンタインのチョコレート・・・だったもの」 「過去形!?」 テーブルの上に置かれた、スザク曰くチョコレートだったものをまじまじと凝視し、ルルーシュは信じられない、と心の中で呟いた。茶色い物体は、確かに色だけを見ればチョコレートと言えなくもないが、逆を言えば色以外のどこを取ったってチョコレートには見えない代物だ。スザクの料理下手は今に始まったことではないが、これはたとえ過去形であったとしてもバレンタインのチョコレートというには無理がありすぎるだろう・・・とそこまで考えて、ルルーシュははたと気付いた。 「・・・今日は3月14日だったと思うんだが?」 「う・・・っ」 ルルーシュの記憶が確かならば、バレンタインは一ヶ月も前に過ぎている。むしろ、今日はホワイトデーと呼ばれる日で、先ほどまでスザクもルルーシュも生徒会主催のホワイトデー祭に参加していたのだ。スザクが日付感覚を失っているとは思えない。訝るようにスザクを見つめると、彼女はもぞもぞと居心地が悪そうに視線を彷徨わせて。 「しっ、仕方ないじゃないかっ。バレンタインのときは、ルルーシュも『チョコレートなんてしばらく見たくない』とか言ってたし・・・第一、あれだけ立派で綺麗なチョコを山ほど貰っている相手にこんなもの出せるわけないし・・・」 ごにょごにょと続けられる言葉は、ルルーシュにも身に覚えがあった。アッシュフォード学園で開催されたバレンタイン祭は、女子生徒のほとんどがルルーシュとスザクに群がるという形で終了した。「恋する乙女の好意を無にしちゃ駄目よ」というミレイのお達しのもと、数日間はチョコレートの処理に追われ、正直ルルーシュはひどく辟易したものだ。・・・もしかしたら、そんな科白のひとつやふたつ、吐いたかもしれない。 だが、いくらバレンタインで、そういう話題が生徒会で上がったとはいえ、男装をしていて、常日頃からルルーシュが不機嫌になるほど騎士として己を律し続け、しかも上に超が付いてもまだ足りないほどの料理下手であるスザクが、自分のために手作りチョコレートを準備しているとは夢にも思わず。「・・・ナナリーの嘘吐き・・・」ぼそりと呟かれたスザクの言葉に、ルルーシュの脳内で誇らしげに微笑む妹の姿が描き出された。 (・・・なるほど。ナナリーが一肌脱いでくれたわけか) おそらく、バレンタインのとき、他の女生徒に気後れして手作りチョコレートを処分してしまったであろうスザクを、もう一度奮い立たせたのも彼女なのだろう。ルルーシュはもちろんのことだが、スザクも大概においてナナリーには甘いのだ。 ルルーシュとしては、愛しい恋人が自分のためにバレンタインのチョコレートを作ってくれたのだ。嬉しくないわけがない。・・・だが、如何せん、果たしてこれは食べられるものなのか。とりあえず、原材料はチョコレートだ。スザクはナナリーの指示で動いたはずなので、セシルのようにとんでもない材料を混ぜ合わせていることはないだろう。それが、どうやったらこのような形状になるのか、聡明なルルーシュの頭を持ってしても想像し得ないことだが、たとえどんなに口へ運ぶことに抵抗があろうとも、元を正せばただのチョコレート。食べられないものではないだろう。 (・・・大丈夫だ。俺はいける) 「あーもうっ! 無理して食べようとしなくていいよ!!」 ごくりと唾を飲み込み、マインドコントロールによってなんとかチョコレートらしきものに見えてきたような気がしなくもない物体が乗ったテーブルに着くルルーシュを見かねて、スザクが叫ぶようにして言った。チョコレートらしきもの――以下略――を奪おうとするスザクと死守しようとするルルーシュの攻防戦は、元より主人相手に本気を出せるわけのない騎士のほうが圧倒的に不利で。 「来年っ! 来年はもっとちゃんとしたのを作るからっ!」 だからこれは勘弁して――そう、半ば泣きそうな声で叫んだスザクに、ルルーシュはぴたりと行動をとめた。その突然の停止に、彼女は怪訝そうに眉を寄せながら「ルルーシュ?」と自分の名前を紡ぐ。 「来年、か・・・」 ぽつりと投下された呟きに「うん?」と首を傾げたスザクには構わず、ルルーシュはなんの迷いもなくその手作りチョコレートを口の中へと放り込んだ。「ルルーシュっ!?」驚愕する恋人が、隣で吐き出すように喚いているのもすべてスルーして、じっくりと咀嚼して飲み込む。 「・・・・・・見た目はトラウマを覚えるほどだし、味もこの上ないほどえぐいが――」 「うぅぅ・・・」 「これで、お前から来年のバレンタインの約束が貰えるなら、俺にとっては最高のチョコレートだよ」 これ以上ないほどに落ち込みきっていたスザクが、その言葉にぽかんとして顔を上げた。そのまろやかな頬を撫で、「来年も作ってくれるんだろう?」と囁けば、彼女の頬は一気に赤く色付いた。 ―――――― というわけで、ルルスザ編は一ヶ月遅れのバレンタインでしたー! ・・・多分、にこにこしながら不味いチョコレートを食べるルルーシュと、来年こそは・・・とぶつぶつ呟きながら真っ赤になるスザク、というのが毎年の光景になるんではないかと(笑) スザクの料理下手は筋金入りだよ! 改善される可能性なんて皆無さ! PR この記事にコメントする
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