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コードギアスのルルーシュとスザクにひたすら愛を捧げているテキストブログ


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Thanks for:選択式御題

わたしの執事、ぼくのお嬢様シリーズ。スザルル♀。


ハッピーバレンタイン! スザルル編です。
ルルーシュ中学生。恋人になって初めて迎えるバレンタインの話。




今年のバレンタインは、今までとは違う。違っていなければならない、とルルーシュ・ランペルージは思っていた。だって、今年は特別だから。スザクがルルーシュを受け入れてくれて、初めて一緒に迎えるバレンタインだから。――去年までのような、親愛と家族愛の延長にあるようなバレンタインではいけないのだ。

ランペルージ家の執事を勤めるスザクは、バレンタインになると毎年ささやかなチョコレート菓子を振舞ってくれていた。ティータイムのお供として運ばれてくるそれを、ルルーシュも双子もとても楽しみにしていたし、今年もそれは例外なくあるだろう。だが、それだけで終わらせないためにも、今年はルルーシュ自身も頑張らなければと思った。元々、日本のバレンタインは女性から男性へチョコレートを贈るものらしいし、だったら、それを踏襲してルルーシュがスザクのためにチョコレートを作るのだって決しておかしくないはずだ。

ぐっと気合を入れ、スザクが外出中に作り上げたトリュフは、お菓子作りの初心者とは思えないような出来映えだった。味見を申し出てくれた双子の弟妹からもお墨付きを貰ったし、誰に出しても恥ずかしくないと自信を持って言える。・・・少なくともルルーシュは、バレンタイン当日を迎えるまで、そう信じて疑いもしなかった。


(・・・・・・私が甘かった)


それはもう、様々な意味でルルーシュは甘かった。ランペルージ家の執事としての腕前といい、そのまめな性格といい・・・とにかく、枢木スザクという人物を、ルルーシュは甘くみていたのだ。思わず胸が高鳴りそうになるほど優しい微笑みを浮かべた恋人と、テーブルの上に置かれた、プロも裸足で逃げていくような見事なザッハトルテ。そのふたつを交互に見遣り、思わず持っていたトリュフボックスを背もたれへと隠してしまったルルーシュを責められる人物など、この世のどこにもいないはずだ。


「ナナリーお嬢様とロロ坊ちゃんには内緒ですよ」


はにかむように口許で人差し指を立てるスザクの口調を注意することも忘れ、ルルーシュは切り分けられたザッハトルテが目の前に差し出されるのを茫然と眺めた。スザクが、ティータイム用とは別に、ルルーシュのためのチョコレートを準備していてくれたことはこの上なく嬉しい。少し照れたような表情も、滅多に見られるものじゃないとわかっている。・・・だけど。


(なにもこんな立派なものを作らなくてもいいんじゃないか・・・!?)


チョコレートケーキの王様と称されるザッハトルテに比べて、ルルーシュが作ったものは単なるトリュフ。もちろん、比べる対象が間違っていることは理解しているし、スザクはルルーシュが作ったトリュフだって、渡せばきっと喜んでくれるだろう。だが、完璧主義なルルーシュのプライドが、それをよしとするわけもなく。


「初めて作ったから、ちょっと自信がないんだけど・・・どうかな?」
「あ、あぁ・・・」


物言いこそ謙虚だが、あのスザクがルルーシュに出すものだ。美味しくないわけがない。ごくり、と唾を飲み込み、フォークを手に持ったルルーシュは、一口サイズに切ったザッハトルテを口へと運んだ。――わかりきっていたことではあるが、文句のつけようがないぐらい美味しい。フォークを持っていた手が小さく震え、悔しさで涙まで滲んできた。そんなルルーシュの様子がおかしいことに気付いたのだろう。「・・・ルルーシュ?」名前を呼びながら、顔を覗き込もうとするスザクのことを、僅かに湿り気を帯びた瞳できっと睨み付け、ルルーシュは震える唇に言葉を乗せた。


「・・・スザクの・・・」
「え?」

「スザクの馬鹿ぁぁあああっ!! 阿呆! 間抜け!! もう知るかーっ!」

「え? えぇぇっ!?」


いきなりの暴言に目を白黒させているスザクを置き去りにして、ルルーシュはその場を走り去った。後ろから呼び止める声も聞こえるが、今は知ったことじゃない。スザクが悪いわけではないと頭の冷静な部分ではちゃんとわかっていたが、いくら知らなかったとはいえ、デリカシーがなさすぎる! 怒りと悔しさと、その他諸々の感情でぐちゃぐちゃになりながら、それでも彼を嫌うという選択肢が最初から除外されているルルーシュは、一口しか味わえなかった最高のザッハトルテの味を思い出し、来年へのリベンジを誓った。


(あぁ、もう! 最悪のバレンタインだッ!!)


――――――
・・・というわけで、ルルーシュは惨敗してしまいました(笑)

ルルーシュが中学生の時点では、料理の腕はスザクの圧勝です。
これ以降、ルルーシュは本格的に料理の勉強(独学)を始め、スザクとは別方向にシェフ並の腕前を持つにいたります。
お互い得意料理が違いますし、スザクがルルーシュと張り合う気が皆無なので、どちらのほうが上手い、というのはない感じ。
お裁縫の腕といい、基本的にルルーシュはスザクへの対抗意識で家事をマスターしていきますが、当のスザクは「ルルーシュ、成長したなぁ・・・」としみじみ思う程度なので、ルルーシュはいつまでも悔しいままです。・・・可哀想なルルーシュ(笑)

なので、タイトルはルルーシュの心の叫びです(ぇ?)
「いつか吠え面かかせてやる!」ぐらいには思ってますよ、ルルーシュは。

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