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コードギアスのルルーシュとスザクにひたすら愛を捧げているテキストブログ


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Thanks for:選択式御題

神殺しシリーズ。ルルスザ。


遅くなりましたが、お正月のルルスザ編。
高三の大晦日話です。三箇日過ぎたけど大晦日です。

お正月なのになんか仄暗くなっちゃいました・・・!(汗)




神社の年末年始は忙しい。それはスザクの実家である枢木神社でも変わらないのだが、祟り神憑きだと判明した元跡取りに任される仕事などないに等しく、雑用を片し終えた後は年明けに向けて段々と増えていく参拝客を眺めていることしかできない。


「スザク」


呼びかけと共に背後から回された腕が、スザクの体を掻き抱いた。一瞬だけぎくりとして、だけどすぐにそれが馴染み深いものだと気付いたら力が抜けた。冷えた体にじんわりと染み込む体温も、包み込むような匂いも、肩にある頭の重みも、全部が全部、スザクにとっては愛しいもの。


「ルルーシュ・・・」


胸元に回された彼の腕にそっと自分の手を重ねて、やんわりとそれを解きながら振り返る。「久しぶりだな」そう目許を和ませて笑うルルーシュに、スザクもうん、と頷いて笑った。枢木神社が忙しくなるにつれ、自然とスザクも神社から離れなくなった。名ばかりとはいえ、表向き跡取りとして世間に認められている以上、年の瀬に家を空けるわけにはいかなかったからだ。


「まったく・・・お前は相変わらず年の瀬になると一切連絡が付かなくなるな」
「ごめんごめん。でも、いつも通り三箇日が終わったらちゃんと挨拶に行こうと思ってたんだよ?」
「それじゃあ遅い」


むすっとした顔でそう断言するルルーシュに、スザクは「変なの」と洩らしながらくすくすと笑った。三箇日が終われば神社もかなり落ち着きを取り戻す。だから、スザクがランペルージ家に訪れるのは毎年決まって4日の朝だった。今年も――いや、まだ年明けまであと10分あるから来年か――そのつもりでいたのだから、わざわざ自分に会いに来たのであろうルルーシュの行動はなんだかこそばゆい。思い返してみても、こんなことは初めてだ。彼には、小さい頃の事故が原因で車椅子生活を余儀なくされている妹がいる。そんな彼女が、大晦日の混雑した神社に来られるはずもなく、かといって事故以前は子供だったために夜更かしが許されず・・・幼馴染みでずっと共に育ってきたスザクとルルーシュだが、実は一度も一緒に年明けを迎えたことがないのだ。――と、そこまで考えて、はたと気付く。


「る、ルルーシュっ! 君、ナナリーはどうしたの?」
「あぁ、ナナリーには母さんと留守番して貰ってるんだ」
「留守番って・・・」


信じられない言葉だ、とスザクは思った。ルルーシュがどれだけナナリーを溺愛しているかは、幼馴染みである自分が一番よく知っている。今までだって、ナナリーに寂しい思いはさせられないから、と家で年明けを迎えていたルルーシュである。その彼が、上機嫌に妹を置いてきた宣言をするなんて到底信じられない。思わず額へと手を伸ばしてしまったスザクの反応だって至極当然のものである。残念なことに、その手は「熱なんてないっ」という言葉と共にはたかれてしまったわけだが。


「お前なぁ・・・」
「だって、あのルルーシュが、だよ? あの、ルルーシュが、ナナリーを置いて、こんなところに来るなんて・・・」
「いちいち区切って言うな。腹が立つ」


不愉快そうに眉を寄せているルルーシュには悪いが、どうしてもそう思ってしまうのだから仕様がない。いつもならばすぐさま謝罪の言葉を述べるところなのだが、こればっかりはそうもいかない。一緒に過ごしてきた十数年、ルルーシュがナナリーを蔑ろにしたことなど皆無なのだから。


「・・・俺だって、お前と年を越したいと思ったりするんだぞ」
「え・・・」


拗ねたような口調に目を瞬かせると、ルルーシュはほんの少しだけ苛立ったように視線を巡らし、仕切りなおすかのように真っ直ぐとスザクを見つめて、言った。


「お前と、新しい年を迎えたいと思ったんだ」


紫水晶の瞳は、夜の闇の中でも光を失わない。強くて、鋭くて、でもどんな光よりも優しい輝きが、スザクは好きだ。ルルーシュの言葉は嬉しかったし、スザクだって彼と同じように考えたことだってある。でも――。


「あぁ、もうすぐ年明けなんだな」


ざわざわと騒ぎ始めた周囲の人々に見て、ルルーシュはどこか楽しそうにそう呟いた。どくん、と鼓動がひとつ跳ねる。スザクはきゅっと拳を握り締め、だけどそれをルルーシュには気付かれたくなくて、小さく微笑む。今年が終わる。もうすぐ、新しい年が来るのだ。5、4・・・と続くカウントダウンに、心が凍り付いていく音がするようだった。ぜろ、の言葉と同時に「あけましておめでとう!」と歓喜する人々。・・・自分だけが、喜べない。


(おわって、しまう・・・)


終わってしまう。終わってしまった。新しい年が来て、スザクに訪れたものは空っぽな心と冷たい絶望と、それから。


「スザク、明けましておめでとう。今年もよろしくな」


――苦しいぐらいの愛しさと、溺れるような哀しみ。


「・・・うん、そうだね。あけましておめでとう」


今年もよろしく、とは、どうしたって繋げられなかった。繋げられるはずがなかったのだ。

だってスザクは、もうすぐ彼の前からいなくなる。約束の期限は、もうすぐそこまで迫ってきていた。


――――――
スザク幽閉前の最後の年明け話です。

ある意味大晦日にupしなくてよかったかもしれない・・・。
こんな暗いの読んで年明けなんて申し訳なさすぎるもの!(笑)

とりあえず、スザルル編はもっとほのぼのした話にします。

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