青春謳歌

Thanks for：ユグドラシル

神殺しシリーズ。ルルスザ。


ハロウィン3話目。完結！
なんかこのふたりがこんなに恋人っぽいのって珍しい気がします（え？）


気が付いたら11月も後半じゃないか・・・（汗）

---

スザクの赤くなった顔を見れば、彼がルルーシュの意図するところを読み取ったことは容易に知れた。ルルーシュは嬉々として微笑み、口をぱくぱくさせているスザクを追い詰めるべく、一歩足を踏み出した。それにあわせて一歩下がるスザクは、非常にわかりやすくて可愛いのだが、だからといって素直に逃がしてやるほどルルーシュは優しくはない。


「どうしたスザク。なにを逃げてるんだ？」
「うっ」


そう言われて、びくりと逃げかけていた足を止めてしまう恋人に、ルルーシュは笑みを深めながら近付く。彼を閉じ込めるようにフェンスへと手をかければ、かしゃん、という金属同士が擦れる乾いた音が寒くなってきた空気に溶けた。スザクの翡翠色の双眸が、ルルーシュを見上げる。身長自体は大して変わらないはずなのに、なぜだかスザクは上目遣いがうまい。ルルーシュがついそう考えてしまう理由の8割は惚れた弱味によるところなのだろうが、それにしたってこんな様子でよくもまぁ今まで変な輩に目を付けられなかったな、とは思ってしまう。


「さぁ、ご馳走か悪戯か、選んで貰うぞ」
「君の言うそれって両方同じ意味じゃないかっ」
「あぁ、よくわかってるじゃないか」


朗らかと肯定してやれば、スザクの口からは盛大な溜め息が洩れた。まったくもって心外だ。今更、菓子を貰って喜ぶ年でもないし、それなら恋人からキスのひとつでも貰ったほうがよっぽどご馳走だ。悪戯にしたってそう。子供騙しみたいな悪戯はそれこそ幼少時に当時は親友であった目の前の幼馴染みと共にやりつくしているし、その上で今やりたい悪戯は、と訊かれれば、そんなの口にするのは少々憚られるような欲望に忠実なものくらいしかない。


「ハロウィンを楽しめと言ったのはお前だろう？　なら、協力ぐらいしたっていいんじゃないか？」
「君ってホント・・・屁理屈だけは天才的だよね」
「だけとはなんだ。だけとは」


むっと顔を顰めてみせると、スザクはくすくすと笑みを洩らした。それが更にルルーシュの機嫌を下降させていくということに、スザクは気付かない。だが、不機嫌のままに離れようとすると、途端にそれを引き止めるかのようにルルーシュの首の後ろに手が回って、「ごめんごめん」と軽い口調が耳朶を擽るのだ。・・・だから、この男は性質が悪い。小さく溜め息を吐きながら、悪戯っぽい笑みを浮かべる恋人の顔をじっとりと睨め付けて、問う。


「・・・そんなんで俺の機嫌が直ると思うか？」
「思ってないよ。だから・・・」


伸び上がるようにスザクの顔が迫り、唇に触れるだけの小さな温もりを灯して離れていく。翡翠の瞳が目の前で照れたように笑い、ルルーシュを見上げた。


「これで、満足した？」
「いや・・・」


甘えるような眼差しに、ざわりと肌が粟立つ。今自分に触れた、血色のいい小さな唇を、舌先でなぞるようにそっと舐めあげて、ルルーシュはすっと目を細めた。女装は死んでもごめんだが、吸血鬼というミレイのチョイスはあながち間違っていないかもしれない。美女を目の前にした吸血鬼はきっとこんなふうに笑むのだろうな、と頭の隅で思考しながら、ルルーシュは唇の端を吊り上げて、言った。


「――ご馳走には、まだ足りない」


そして、噛み付くような接吻け。びくりと反応したスザクの体を抱き寄せて、ルルーシュは自分専用のご馳走を余すところなく堪能すべく、ゆっくりと口腔に舌を差し入れた。


――――――
思いがけず頂きますされちゃったスザクさんの話になってしまった（笑）
一応話のほうはキスで終わらせてますが、このルルーシュがキスだけで満足するような男かって聞かれたら私は黙秘を選択します。
「聞くな、察しろ！」・・・この一言で、聡いお嬢さん方はわかってくれるって信じてる！（笑）

というわけで、これにてハロウィン小説ルルスザ編終了～！
最近ちゃんとしたラブシーンを書いてなかったもんですから、少々恥ずかしかったです。
も、もうちょっとちゃんとラブシーン作ろう。耐性付けなきゃこれからきつそうだもの・・・！

スザルル編はトリックだったので、ルルスザ編はトリートで！　とかさり気なく決めてました（笑）
少しでも気に入って頂けたら幸いです♪