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コードギアスのルルーシュとスザクにひたすら愛を捧げているテキストブログ


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Thanks for:hazy

わたしの執事、ぼくのお嬢様シリーズ。スザルル♀。


10月といえばハロウィン!
というわけで、ハロウィン短期連載スザルル編開始です。2~3話予定。
ルルーシュ高校生バージョンなのでもう恋人同士です。
でも今回はまだルルーシュの出番はなし(笑)


次回更新はルルスザのハロウィン連載開始予定ですー。




「「スザクさん」」
「ん?」


聞き慣れたふたつの声に呼び止められて、スザクは洗濯物を干している手を休めて振り返った。振り返った先には、見慣れない格好をした見慣れた双子の姿。黒い三角帽子に、黒いローブ。普段ならば度肝を抜かれるであろうその姿も、今日という日を考えれば驚きなく受け止められる。――ハロウィンという、この日ならば。


「あぁ、今年は魔法使いなのかい? ふたりとも可愛いね」
「ふふっ、ありがとうございます」
「今年も姉さんの手作りなんだよ」
「え、ルルーシュの手作り? ・・・にしては、今回は随分シンプルだね」


双子の纏った揃いの衣装にそう感想を送る。昔――それこそランペルージ家の三姉弟が小学生だった頃、ハロウィンの仮装を作るのはスザクの役目だった。その役目を、中学生に上がったルルーシュに奪われてから早5年。危なっかしかったミシン捌きも板に付くようになり、今ではスザクが舌を巻くような凝った衣装を手ずから作るようになったはずのランペルージ家長女である。訝るスザクの目の前でふたりはくるりと回転してみせて、言った。


「スザクさんはこの衣装を見てなにか思い出しませんか?」
「え? この衣装を見て?」
「そうだよ。よーく見てね」


上機嫌なふたりは「ううーん」と唸るスザクの顔を見ながら心底楽しそうに笑う。黒い三角帽子にはワンポイントとしてハロウィンお馴染みのかぼちゃの飾りがついているだけ。黒いローブに至ってはなんの飾り気もない本当にシンプルなものだ。ローブの上に付けられている銀のブローチが唯一の装飾品か。


(去年の化け猫の衣装なんてよくできてたのに)


ふわふわの猫耳から型紙を取って作っているのを見たときは、なにもそこまでしなくても・・・と思わず思ってしまったほどである。その前の年の悪魔だって、ナナリー用のスカートとロロ用のズボンとをいかにペアルックらしく見せるかに心血を注いでいた。それより前の年だって――そう思考を巡らせたところで、スザクは「あっ」と声を上げた。


「わかった?」
「それ、ルルーシュが初めて作った衣装だよね」
「そうなんです! 初心を思い出して作ってみたと仰って」
「本当はこれから色々と装飾するつもりだったらしいんだけど、僕達がこのままでいいよって言ったんだ」
「だって、なんだか懐かしいじゃないですか」


ねー。と、微笑みあう双子にスザクも笑う。確かに懐かしい。あの頃はルルーシュもミシンの扱いに慣れていなくて、縫えば曲がるわ、ほつれるわ、で結構ひどい出来だったのだ。スザクがこっそりと直してフォローしようとしたのだが、聡い彼女はそれさえも気付いてしまってひどく不機嫌だった。まぁ、着る本人である双子は、出来よりも姉が自分達のために作ってくれたという事実のほうが嬉しいという自他共に認めるシスコンであったので、ルルーシュとは打って変わって上機嫌であったが。


(でも、こうして同じ衣装を作ってみると、上達具合がよくわかるなぁ)


5年前の衣装は、非常に手作り感溢れるものだったが、今年のそれは既製品だと言われても簡単に信じてしまうほどの出来映えだ。縫い跡は曲がっていないし、糸の処理も完璧。小さい頃からずっと見守ってきた女の子の成長に、思わず心が温かくなる。

だから、スザクは油断した。


「ところでスザクさん」
「ん?」


ナナリーの呼びかけに、スザクは衣装へと落としていた視線を上げる。にっこりと微笑んだナナリーの顔を見て、それから同じように微笑むロロを見て――嫌な予感がした。


「「Trick or treat!」」

「・・・・・・え?」


トリック・オア・トリート。その言葉の意味を知らないスザクではないが、言われる理由がいまいちよくわからない。この日は毎年、3時のお茶会のときにスザクが作ったかぼちゃのお菓子を振舞うのが恒例で、お決まりのセリフもそのときに言われるもののはず。思わず目をぱちくりさせてふたりを見てしまうのも仕方ないことだろう。


「えーと・・・お茶会のときにちゃんと準備するよ?」
「駄目です」
「そうだよ。僕達は今『Trick or treat』って言ったんだから」
「そんなこと言われても・・・」


いくらハロウィンとはいえ、さすがのスザクだって洗濯物を干すのにお菓子を持ち歩いたりはしない。途方に暮れたスザクを見て、双子はそれはそれは楽しそうに微笑んで、言った。


「スザクさんはお菓子を持ってないみたいだよ、ナナリー」
「えぇ、そのようですね、ロロ」


にこにこにこにこ・・・。どこか既視感を覚える笑顔に、スザクは思わず体を引く。何故だろう。この笑顔には、ものすごく嫌な予感しか覚えない。


「「なら、悪戯のほうだね(ですね)」」


嬉しそうに手を叩き合う双子を見て、スザクはようやくその既視感の正体に辿り着く。――そうだ。これは、何かよからぬことを企んでいるときのマリアンヌさんと同じ笑顔なんだ・・・! 微妙なところで双子の中に生きる母親の血を感じて、スザクの顔が盛大に引き攣る。


「さぁ、スザクさん」
「覚悟して下さいね」


じわじわと近付いてくる、天使のように可愛らしい双子の小悪魔の笑顔に、スザクは背筋がさぁっと冷たくなるのを感じた。


――――――
ある意味最強なのはこの双子です。
それにしてもこのシリーズにおけるロロ&ナナリーの初書きがこれかぁ・・・(苦笑)

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