コードギアスのルルーシュとスザクにひたすら愛を捧げているテキストブログ
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 ルルスザ / コピー / 48P / 200円 「・・・ねぇ、C.C.僕の望みを叶えてくれるって言ったよね? あれはまだ有効?」 ――僕。聞き慣れない一人称に小さく眉を顰め、C.C.は首を傾ける子供の翡翠の瞳を見返した。 「お前がお前である限りは有効だな。・・・なんだ、なにかあったのか?」 「うん、ちょっとね」 困ったように苦笑する子供の心境に、どのような変化があったかは、C.C.には想像することしかできない。 だが、三日前のあの日、この子供が己の運命を突きつけられた日から、急速に変化は訪れていた。粗野な言動はすっかり消え、一人称も変わり、なにかを悟ったように遠くを見つめることが多くなった。 (・・・こいつのこんな姿を見て、あの子供はなにを思うのだろうな・・・) いつも一緒にいた、ふたりの子供。唯一無二の親友であり、それ以上の存在。魂の半身といってもいい深い絆を、C.C.はずっと見つめてきた。見守ってきた。――だからこそ、思ってしまう。 スザクの変化を、あの子供はきっと哀しむだろう、と。 それでもスザクはきっと、変わらざるを得なかった。昔のままでは――なにも知らなかったころのままでは、いられなかったのだ。 「――それで? お前の望みはなんだ?」 C.C.は小さく首を振り、自分の感傷を頭の中から追い出す。そうして問いかけた言葉に、スザクはうん、と静かに頷いてから、答えた。 「高校に、行きたいんだ」 「・・・・・・」 「一緒に・・・もう一度一緒に、学校生活を送りたい人がいるんだ」 「――ルルーシュ・ランペルージか」 「・・・知ってたんだ」 少し驚いたように目を瞠るスザクを眺め、C.C.はそっと溜め息を洩らす。 (やっぱりお前は・・・一緒に過ごすことを選ぶんだな) そのあとに待っているのが永遠の別れだと知っていても、残された時間を一緒にいたいと願う。 (まぁ、わかりきったことか・・・) ふっ、と表情を和らげ、C.C.は不安そうに眉を寄せているスザクのクセ毛をそっと撫でた。 「・・・一緒に卒業できるかはわからないぞ」 「うん」 「よしんば卒業できたとしても、そのあとはここへ逆戻りだ」 「うん・・・大丈夫。ちゃんとわかってる」 そう言って、泣く一歩手前のような顔で微笑みながら、スザクは続けた。 「それでもう二度とルルーシュに会えないとしても、僕は後悔しない」 凛と響く、真っ直ぐな声。 C.C.は、その声を鼓膜に焼き付けるように目を閉じてから、わかった、と答えた。 「そこまで心が決まっているなら、もうなにも言わない。お前が健やかな高校生活を送れるよう、この私が最大限協力してやろう」 「ありがとう、C.C.」 綻ぶように笑みを洩らすスザクに、C.C.はわざと唇の端を吊り上げて笑い。 「まぁ、アッシュフォードを受けるのはお前だからな。精々死ぬ気で勉強することだ」 「う・・・っ」 途端に苦い表情になった子供を見て、今度こそ声を洩らして笑った。 「私が手を貸してやっても構わないが、ズルして受かるのはお前の本意ではないんだろう?」 「それはまぁ・・・そのとおりだけど」 「それこそあの童貞坊やに手伝って貰えばいい。確か頭だけは無駄によかっただろう、あいつは」 「童貞って・・・ひょっとしてルルーシュのこと? いくらなんでもそれは失礼でしょ。・・・ルルーシュって結構モテそうだし」 「いや、あいつは絶対に童貞だな」 きっぱりと断言するC.C.に、スザクは心底複雑そうな顔をした。 「受験のことはとりあえず平気だろう。お前達は、ふたり揃えばできないことなどないらしいからな?」 「・・・そんなことまで知ってるんだ」 「ずっと見ていたからな」 さらりと答えて、C.C.はスザクに背を向ける。・・・さて、これから忙しくなる。まずは頭の固いスザクの父親の説得からしなくては。 十五歳を過ぎた祟り神憑きを外に出すなんて前代未聞だ。揉めることは目に見えている。――だが、それでもC.C.は叶えなければならないのだ。この、優しい子供の、ささやかな望みを。 「ねぇ、C.C.・・・君はどうして、そこまでしてくれるの? 今までの祟り神憑きの望みも、こうして叶えてきたのかい?」 穏やかな声に呼び止められて、C.C.は振り返る。歩き出していたC.C.はもう格子の外側だ。祟り神憑きを閉じ込めるための格子に、スザクは触れられない。格子の内側で、彼は静かに座りながら、C.C.を見ていた。 ――その瞳は、C.C.にいつかの木漏れ日を思い出させる。 『なぁ、どうしてこんなところで寝てるんだ?』 そう問いかけてきた小さな子供は、自分がずっと見守られていたことも、ましてやその内にC.C.自身も気を抜いて寝てしまったということも知らない。 『具合でも悪いのか? 薬でも持ってきてやろうか?』 今よりもずっと幼い。でも、その翡翠の煌きは、昔とまったく変わっていないのだ。 (あれからもう七年も経つのか) 人の生きる月日の、なんて早いことだろう。くすり、と笑みを洩らし、C.C.はきょとんとしているスザクへと向き直り。 『いや、薬はいらない』 「そうだな・・・あえて理由を言うならば」 『代わりに、ピザを一枚貰おうか』 ――答えた。 「お前には、ピザ一枚分の借りがあるんだ」 『なんだよ、腹が減ってるだけかよ』 「・・・ピザ??」 昔と今。成長した子供の見せる、まったく変わらない間の抜けた表情に、C.C.は思わず吹き出した。 PR この記事にコメントする
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