忍者ブログ
コードギアスのルルーシュとスザクにひたすら愛を捧げているテキストブログ


×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ルルスザ / コピー / 48P / 200円

ブログの再録プラス書き下ろし3本。
今回のサンプルはその内の1本です^^

その他の書き下ろしはC.C.とスザクの会話がもう1本と、ルルーシュの告白話です。


【再録】
#01 この先の未来には、君がいないよ
#02 追憶のひと
#03 終末物語
#06 水葬された恋
#07 あなたが嫌いな理由なんてない
#09 十三月の哀しみ
#10 溺れる自信があります
#11 サヨナラの接吻
#12 四月に朽ちて五月に墓をつくる笑いあった六月は永遠に こない

【書き下ろし】
#04 虚無を掴んだこの 指先に
#05 未完成こそ美しく尊い 全てはまだ結末を迎えてはいけない
#08 彼女の涙を餌に

Title by:
ユグドラシル(#01、#07)
選択式御題(#02~#04、#06、#09~#12)
hazy(#05、#08)


※サンプルのほうは軽くweb用編集してあります。実際のものとは改行等が異なりますのでご注意下さい。





「・・・ねぇ、C.C.僕の望みを叶えてくれるって言ったよね? あれはまだ有効?」

 ――僕。聞き慣れない一人称に小さく眉を顰め、C.C.は首を傾ける子供の翡翠の瞳を見返した。

「お前がお前である限りは有効だな。・・・なんだ、なにかあったのか?」
「うん、ちょっとね」

 困ったように苦笑する子供の心境に、どのような変化があったかは、C.C.には想像することしかできない。
 だが、三日前のあの日、この子供が己の運命を突きつけられた日から、急速に変化は訪れていた。粗野な言動はすっかり消え、一人称も変わり、なにかを悟ったように遠くを見つめることが多くなった。

(・・・こいつのこんな姿を見て、あの子供はなにを思うのだろうな・・・)

 いつも一緒にいた、ふたりの子供。唯一無二の親友であり、それ以上の存在。魂の半身といってもいい深い絆を、C.C.はずっと見つめてきた。見守ってきた。――だからこそ、思ってしまう。
 スザクの変化を、あの子供はきっと哀しむだろう、と。
 それでもスザクはきっと、変わらざるを得なかった。昔のままでは――なにも知らなかったころのままでは、いられなかったのだ。

「――それで? お前の望みはなんだ?」

 C.C.は小さく首を振り、自分の感傷を頭の中から追い出す。そうして問いかけた言葉に、スザクはうん、と静かに頷いてから、答えた。


「高校に、行きたいんだ」


「・・・・・・」
「一緒に・・・もう一度一緒に、学校生活を送りたい人がいるんだ」
「――ルルーシュ・ランペルージか」
「・・・知ってたんだ」

 少し驚いたように目を瞠るスザクを眺め、C.C.はそっと溜め息を洩らす。

(やっぱりお前は・・・一緒に過ごすことを選ぶんだな)

 そのあとに待っているのが永遠の別れだと知っていても、残された時間を一緒にいたいと願う。

(まぁ、わかりきったことか・・・)

 ふっ、と表情を和らげ、C.C.は不安そうに眉を寄せているスザクのクセ毛をそっと撫でた。

「・・・一緒に卒業できるかはわからないぞ」
「うん」
「よしんば卒業できたとしても、そのあとはここへ逆戻りだ」
「うん・・・大丈夫。ちゃんとわかってる」

 そう言って、泣く一歩手前のような顔で微笑みながら、スザクは続けた。

「それでもう二度とルルーシュに会えないとしても、僕は後悔しない」

 凛と響く、真っ直ぐな声。
 C.C.は、その声を鼓膜に焼き付けるように目を閉じてから、わかった、と答えた。

「そこまで心が決まっているなら、もうなにも言わない。お前が健やかな高校生活を送れるよう、この私が最大限協力してやろう」
「ありがとう、C.C.」

 綻ぶように笑みを洩らすスザクに、C.C.はわざと唇の端を吊り上げて笑い。

「まぁ、アッシュフォードを受けるのはお前だからな。精々死ぬ気で勉強することだ」
「う・・・っ」

 途端に苦い表情になった子供を見て、今度こそ声を洩らして笑った。

「私が手を貸してやっても構わないが、ズルして受かるのはお前の本意ではないんだろう?」
「それはまぁ・・・そのとおりだけど」
「それこそあの童貞坊やに手伝って貰えばいい。確か頭だけは無駄によかっただろう、あいつは」
「童貞って・・・ひょっとしてルルーシュのこと? いくらなんでもそれは失礼でしょ。・・・ルルーシュって結構モテそうだし」
「いや、あいつは絶対に童貞だな」

 きっぱりと断言するC.C.に、スザクは心底複雑そうな顔をした。

「受験のことはとりあえず平気だろう。お前達は、ふたり揃えばできないことなどないらしいからな?」
「・・・そんなことまで知ってるんだ」
「ずっと見ていたからな」

 さらりと答えて、C.C.はスザクに背を向ける。・・・さて、これから忙しくなる。まずは頭の固いスザクの父親の説得からしなくては。
 十五歳を過ぎた祟り神憑きを外に出すなんて前代未聞だ。揉めることは目に見えている。――だが、それでもC.C.は叶えなければならないのだ。この、優しい子供の、ささやかな望みを。

「ねぇ、C.C.・・・君はどうして、そこまでしてくれるの? 今までの祟り神憑きの望みも、こうして叶えてきたのかい?」

 穏やかな声に呼び止められて、C.C.は振り返る。歩き出していたC.C.はもう格子の外側だ。祟り神憑きを閉じ込めるための格子に、スザクは触れられない。格子の内側で、彼は静かに座りながら、C.C.を見ていた。
 ――その瞳は、C.C.にいつかの木漏れ日を思い出させる。


『なぁ、どうしてこんなところで寝てるんだ?』


 そう問いかけてきた小さな子供は、自分がずっと見守られていたことも、ましてやその内にC.C.自身も気を抜いて寝てしまったということも知らない。

『具合でも悪いのか? 薬でも持ってきてやろうか?』

 今よりもずっと幼い。でも、その翡翠の煌きは、昔とまったく変わっていないのだ。

(あれからもう七年も経つのか)

 人の生きる月日の、なんて早いことだろう。くすり、と笑みを洩らし、C.C.はきょとんとしているスザクへと向き直り。

『いや、薬はいらない』
「そうだな・・・あえて理由を言うならば」
『代わりに、ピザを一枚貰おうか』

 ――答えた。


「お前には、ピザ一枚分の借りがあるんだ」


『なんだよ、腹が減ってるだけかよ』
「・・・ピザ??」

 昔と今。成長した子供の見せる、まったく変わらない間の抜けた表情に、C.C.は思わず吹き出した。

拍手

PR
この記事にコメントする
Name :
Comment :
 


material by アルフェッカ

忍者ブログ | [PR]
 
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カウンター
メールフォーム
最新CM
[10/22 sora]
[05/13 悠]
[03/01 音音]
[10/16 朝倉斐滝(管理人)]
[10/15 NONAME]
ブログ内検索
最新TB
プロフィール
HN:
朝倉斐滝
性別:
女性
バーコード