パンドラの箱は開け放たれた

Thanks for：hazy

少女騎士シリーズ。ルルスザ♀。


30000HIT記念。3回連続更新第二回目。

【罪悪刺青】 Chapter 2


宣言どおりルルーシュ登場です。
これ以降、しばらくイチャイチャさせられる暇がなさそうなので、今の内に・・・（笑）


そして、この話には関係ありませんが、40000HITの反応がなさすぎて朝倉は泣きそうです。
このままだと企画倒れになりそうな予感・・・。
よかったら皆様ご参加下さいぃぃっ！！（切実）

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「ねぇ、ルルーシュ。僕が君に女だってバレたときのこと、覚えてる？」


白いシーツの海に潜り込みながら、スザクは僅かに首を傾げて、問うた。ルルーシュの目が、一瞬だけきょとんとして自分を見る。それから少しいやそうに眉が顰められるのを見て、あぁ、やっぱり忘れてないんだなぁ、と小さく笑みが洩れた。


「忘れられるわけがないだろう」
「そう？」
「そうだ」


そうかなぁ、なんて呟きながら、スザクはくすくすと笑う。ルルーシュ達兄妹に、スザクの性別を知られたのは、スザクが初潮を迎えたその当日のことだった。10歳の夏、下腹部に微かな違和感を覚えながらいつものようにルルーシュ達のいる土蔵へとやってきたスザクを見て、ルルーシュはぎょっと目を瞠った。それを見てどうしたのだろう、と首を傾げた瞬間、「スザク！？　どこか怪我をしたのか！？」と詰め寄られることとなり――スザクはそこで初めて、自分の太股を静かに伝っていく血の存在に気が付いた。当然のことながら、当時のスザクには月経の知識などない。そのため、それがどこからの出血かを悟ったところでスザクはパニックに陥り、その混乱が伝染するようにルルーシュも大いに取り乱すこととなったのだ。彼があの日の話を持ち出して苦い顔をするのは、そこら辺に起因しているのだろう。

結局、女性としてのちゃんとした知識を備えていたナナリーが最初にその事実に気付いた。「ひょっとして・・・スザクさんは女性なのではありませんか？」という指摘に混乱状態にあったスザクは素直に頷いてしまい・・・そうなれば、知識だけはしっかりとあるルルーシュも、種類の違う驚愕に陥りながらも落ち着きを取り戻していったのである。兄妹ふたりに月経がなんたるかを教わったスザクは、そこでようやく、自分が病気でもなんでもないことを知り、心底安堵することができた。――のだが。


（あのときは本気で焦ったなぁ）


その直後に思い出したのは、他でもない父の血に濡れた戒めだった。


――次からは。


自分で始末を着けろ。父は確かにそう言った。あのときの父の冷たい声を思い出し、即座に思ったのは、誰にも知られてはいけないという、ただそれだけだった。月の明るい夜、赤く染まった部屋、転がる肉塊――鈍く光る白刃の重み。鮮明に思い出せるそれらが胸の奥から溢れ出てきて、スザクの鼓動を速めた。絶対に、知られるわけにはいかない。ルルーシュとナナリーが自分の性別を知ってしまったなんて、他の誰にも知られてはいけない。


「――どうしたんだ？　スザク」


訝しげにスザクの名前を呼ぶ彼は、そうして、どこか労わるようにスザクの頬を撫でる。慣れ親しんだ体温がじんわりと心に染みて、スザクはうっとりと目を細めた。――あぁ、好きだなぁ。ルルーシュが好きだ。こうして分け合う熱が愛おしい。思えば当時から、ルルーシュはスザクの特別だったのだろう。


（ルルーシュを、失いたくない）


ルルーシュと、ナナリーと、自分と。そうやって過ごした、あの暑い夏の日々を失いたくない。その想いは、当時から変わることなくスザクの中に根付いていて。


「・・・ひょっとして、体がつらいのか？」
「ううん。そんなことないよ、大丈夫。・・・むしろ、もう一度ルルーシュを感じたいな、って、思ってる」


そのためになら、きっとスザクはどんなことだってする。


「お前は・・・そんな誘い方、どこで習ってくるんだ」


呆れたように言いながら、それでも確かに熱を孕んだ接吻けを受け止めて、スザクはそっと瞳を閉ざす。真っ暗な視界を掠めたのは、自室にしまってある一通の手紙。それは、捨ててきたはずの過去の遺物だ。追いかけてきた過去。追いついてしまった過去。――ならば、もう一度終わらせなければ。切なくなるほど優しい体温に包まれながら、スザクはこの温もりを失うことだけを恐れていた。


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ホントはR指定に突入しようかと思っていたのですが、やっぱりブログでそれを書く勇気がありませんでした・・・。
更新が遅くなったのはそこら辺の葛藤があったからです（笑）